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バレーボール

「パリでは東京以上の成績を」バレー男子代表、内部昇格のブラン新監督が抱負「一番選手の近くにいた」との自負も

北野正樹

2021.10.20

前体制でもゲーム監督と評されていたブラン氏のもと、日本代表はパリ五輪へ向かう。(C)Getty Images

前体制でもゲーム監督と評されていたブラン氏のもと、日本代表はパリ五輪へ向かう。(C)Getty Images

 日本バレーボール協会は10月19日、日本代表男子監督に内定したフィリップ・ブラン氏のオンライン会見を開いた。

 5年間、男子代表チームのコーチを務め、昇格したブラン新監督は「日本チームの長所である速さと柔軟性はアタックにも生きる。体の大きさではブラジルやロシアなどには勝てないが、試合ではそれだけが重要ではない。現代バレーをもっと伸ばしていくことが必要。パフォーマンスを向上させ、パリ五輪では東京以上の成績を挙げたい」と抱負を語った。

 会見の冒頭、嶋岡健治会長はブラン起用について「前体制で5年間コーチを務め、29年ぶりの決勝トーナメント進出を果たした。チームを一番知る人材で、5年間、土台作りをやって来て3年の短い間で、パリで成果をいかんなく発揮できる。継続性とチームを熟知しており、東京五輪以上の成績を期待している」と説明。

 新任の南部正司・男子強化委員長(元男子代表監督)は「決勝トーナメントに進出した東京五輪の成果を継続し、さらに強くするためにブランを選んだ。来年の世界選手権でひとつの成果を示さなければならない」と、来年8月末からロシアで開催される男子の世界選手権での好結果を求めた。

 前体制の試合中は、中垣内祐一監督より選手に戦略や戦術の指示やアドバイスを送る場面が多く、ゲーム監督とも評されていたブラン新監督。「指示は中垣内監督が出すこともあった。誰が指示を出すかではなく、出す内容がどのように選手に伝わるか、選手がいかに受け止めるかが大事」と明確な説明は避けながらも、「シーズン前、シーズン中、試合中も一番選手の近くにいたのは私」と、自負ものぞかせた。
 
 当初は、「東京五輪を超える結果を残すこと」と語っていたブラン新監督だが、会見途中からは「より大事になるのは2023年のOQT(五輪世界最終予選)で出場権を獲得すること」「パリ五輪で結果を残すことより、出場権を獲得することの方がもっと難しいことだと認識している」と、現実的な五輪出場権獲得に下方修正していた。

 また、主将を柳田将洋から石川祐希に交代させ、東京五輪前のネーションズリーグで柳田を代表に選考しなかったことについては「柳田はよい主将だったが、チームが一番必要とするものを石川が持っており、適任だった。五輪ではさまざまな状況を考えて臨む必要があり、多くの変化が必要と考えた。柳田が外されたのではない」と説明した。

 ブランの起用について、国内のバレー関係者の中には、経験豊富な外国人監督に託すことに理解を示す一方、「外国人監督の場合、自身の評価を意識することがチームの成績につながる一方で、日本のバレーを継続して強化していこうとする意識が希薄では」という懸念の声もある。

 南部強化委員長は「継続的に男子が強くなるためには、人材輩出が必要。アンダーカテゴリーを重点的に強化し、シニアにつながる選手が偶然、出るのではなく強化プログラムをシステムとして構築したい」と、強化体制の見直しを示唆していた。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。

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