モータースポーツ

大きな差がついた角田裕毅とガスリーの現状。この違いが「2年前のレッドブルでも見られた」と専門メディアが回顧

THE DIGEST編集部

2021.10.21

良好な関係を築いている角田(左)とガスリー(右)だが、マシンの好みはまったく違うようだ。(C)Getty Images

 今季よりF1デビューを飾ったスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅。デビュー戦となったバーレーン・グランプリでは、予選Q1で2番手につけ、決勝では歴代王者相手に次々にオーバーテイクを見せて9位入賞を果たすなど、いきなり主役に躍り出たが、続くエミリア・ロマーニャGPではフリー走行、予選、決勝と無理な仕掛けでコースアウトしてチャンスを潰し、自信を喪失(本人談)すると、そこからは浮き沈みのキャリアが続いている。

 その能力の高さを時折披露しているものの、ネガティブな評価が先行する最大の理由は、チームメイトであるピエール・ガスリーとの大きな差だろう。ポイント獲得数だけで比較しても、角田の18に対してガスリーは74。キャリア5年目に突入したドライバーとの比較はフェアではないとも言えるが、角田は開幕前の今季を「チームメイトを負かすシーズンにしたい」と目標を語り、彼のF2時代の監督は「欧州ラウンドに入る頃にはガスリーに肩を並べるだろう」と予測していたことを考えると、現実はかなり厳しかったということだろう。

 これについて、英国のモータースポーツ専門メディア『THE RACE』は「ガスリーは2019年にマックス・フェルスタッペンにされたことを、今、角田に対して行なっている」と題した記事の中で、2年前のレッドブルにおけるドライバー間の状況の違いが、現在のアルファタウリにも表われているという。
 
 同メディアはまず、ドライコンディションの予選におけるガスリーと角田の平均タイム差が0.57%(仮にガスリーのラップタイムが1分30秒の場合、角田は0.513秒遅れ)、そして角田の獲得ポイントはガスリーの24%と、かなりの差があることを強調。ちなみに2年前のガスリーはフェルスタッペンに対し、平均タイム差では0.456%遅く、獲得ポイントは35%であり、こちらもやはり大きな差があった。

 この2つのドライバー間の差に共通するのは、「片方のドライバーが最大限にポテンシャルを引き出せる車に、もう片方のドライバーが適応できないということ」だとのことで、直近のトルコGPで角田が唯一ソフトタイヤを使用してQ3に進出するも、車のフィーリングや自身のドライビングに不満を漏らしたのに対し、インターミディエイトで好タイムを出したガスリーは「セッティングに多くの変更を加えたことで、車がはるかに生き生きとしていた」と真逆の感想を述べたことを、象徴的な事象として挙げている。