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「路面を全て再舗装すべきだ」MotoGPライダーから不満噴出のアメリカGP、角田裕毅とガスリーの見解は?

甘利隆

2021.10.22

角田(左)、ガスリー(右)ともにアメリカGPの環境はベストとは考えていないようだ。(C)Getty Images

 F1世界選手権もいよいよシーズン大詰めを迎え、今週末、第17戦アメリカGPがアメリカ・テキサス州オースティンの"COTA"ことサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行なわれるが、アルファタウリの角田裕毅とピエール・ガスリーには、コースについて気にかかることがあるようだ。

 2012年に完成したCOTAでは、その年からF1が、翌2013年からはMotoGPが開催されているが、元からの土壌の性質に加え、最高気温が40℃以上にも達し、最低気温がマイナス20℃まで迫るという寒暖差が大きい気候の影響もあってか、路面の凹凸が激しく、例年ドライバーたちの頭を悩ませてきた。

 2020年シーズンの開幕に合わせ、バックストレートなどサーキットの一部を再舗装し、今年の9月にはMotoGPが開催されたが、その際にもライダーたちから「路面を全て再舗装すべきだ」といった不満が噴出。アプリリアのアレイシ・エスパルガロやKTM・テック3のダニーロ・ペトルッチがレースの中止を提案するほどだった。

 新型コロナウイルスの影響により昨年はレースが行なわれなかったが、当然、ルーキーの角田は初めてここを走るハンデを背負うことにる。

「今シーズン、残りのレースが行なわれるトラックで僕が走った経験があるのは最終戦アブダビGPのヤス・マリーナ・サーキットだけなので、今週末のオースティンを含む全てのトラックが初体験になります」

 こちらも初めてだった前戦トルコGPでは予選Q3に進出し、8周目までメルセデスのルイス・ハミルトンを抑え込む健闘を見せたが、すでにできる準備は進めている。

「イスタンブールから戻った後、シミュレーターでCOTAをドライビングする練習を数日間しました。様々なタイプのコーナーがあり、最初のブラインドコーナーまでの急激な上りが非常に興味深かったです。そのセクターはまるでジェットコースターみたいで、初めて体験するのが楽しみ。アメリカは行ってみたい国のリストに常に入っていたし、その点でも興奮しています。オースティンのバーベキューレストランのことはよく聞いているので、和牛と比べてどうなのか試してみたいです!」
 
 強心臓で知られる21歳らしい受け答えだが、シーズン序盤に足をすくわれた場面もたびたびあっただけに慎重さも忘れてはいない。

「MotoGPライダーたちが路面について不満を言っているのを見たので、F1レースディレクターのマイケル・マシとサーキット関係者が今週末に間に合うよう、きちんと対処してくれたのか確認する必要がありますね」

 チームのエース格、ガスリーもCOTAのレイアウト自体が好きだというものの、パンプの多さからマシンのセットアップに妥協を強いられることになるのではないか? と懸念を抱いている。

「ドライビングの面で見ると、このコースはとてもエキサイティングで、とても速い。特に鈴鹿と似た第1セクターは好きですね。そのあとの第2セクターは少しゆっくりしていてテクニカルだと思います」としながら「数週間前にMotoGPを観戦した時、前回のレースでもかなりひどかったバンプが、今回はさらにひどくなっているように感じました。セットアップで何らかの妥協が必要でしょうが、実際に行ってみないと分からないですね」と話す。

 しかし、25歳のフランス人ドライバーは、アルファタウリ・AT02の競争力からすればそこまで心配することはないと考えているようだ。

「今週末はかなり複雑になると思いますが、全体的にはとても面白くなりますよ!」

文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super