どこか哀愁すら漂うKO劇だった。
現地時間10月23日にモスクワで行なわれた総合格闘技「ベラトール」の一戦で、元PRIDEヘビー級王者のエメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)が、同級2位ティム・ジョンソン(米国)と5分3回で対戦。わずか106秒での秒殺KO勝利を飾った。
すでに引退を表明しているヒョードルは、ベラトールとの間に3試合の引退ツアー契約を締結。その第1戦目は19年12月に日本で行なわれたクイントン・ランペイジ・ジャクソン(米国)戦で、その時もKO勝ちを収めていた。
有終の美を飾ろうとする45歳は母国のファンの前でも強かった。割れんばかりのヒョードルコールの中でリングインした“氷の皇帝”は、攻勢に出ようとしたジョンソンが仕掛けてきた瞬間を狙っていた。右フックをダッキングでかわすと、すかさずカウンターの右ストレートを相手の顎に当てこんだのだ。
続け様にヒョードルは、左右のフックをヒット。これには120キロの巨漢ジョンソンも崩れるようにダウン。レフェリーがまもなく試合を止めた。
加齢による衰えから全盛期の身体のキレは見られない。それでも、「人類最強の男」と恐れられたPRIDE時代を彷彿とさせる貫禄のKO劇は、地元ファンを大いに熱狂させた。
無論、国民的英雄でもあるヒョードルの快勝にロシア・メディアも沸いている。ポータルサイト『MK』は、「ほとんどすべての相手をなぎ倒し、偉大だった10年前と変わらない姿がそこにあった。冷血なヒョードルは、9歳年下のジョンソンをスピードで凌駕してロシアの群衆の前で印象的な存在感を示した」と絶賛した。
また、海外メディアも健在ぶりをアピールしたヒョードルに驚嘆する。スペイン紙『AS』が「格闘会の偉大なるレジェンドは、最後に伝説を残しに“家”に帰ってきた」と記せば、クロアチアの専門メディア『fightsite』は、「ロシア最後の皇帝は、ジョンソンとの試合をわずか1分ちょっとで終わらせた」と伝え、こう続けた。
「45歳となったヒョードルだが、その拳はいまだダイナマイト級の強さを誇っていた。ジョンソンは真っ向からヒョードルに対抗しようとしたが、それは賢明な作戦ではなかった。最初の打撃を交わし合った時点で、どちらが優秀かは明白であり、それを証明するかのように2度目の殴り合いですべてが決した」
試合後には「ノックアウトするのは時間の問題だった。危険なんてものはなかった。私は彼よりも早く動き、仕事をしただけだ」と堂々と語ったヒョードル。いまだ意気軒昂といった様子の大ベテラン戦士は、母国凱旋大会をこれ以上ないかたちで締めくくった。
構成●THE DIGEST編集部
現地時間10月23日にモスクワで行なわれた総合格闘技「ベラトール」の一戦で、元PRIDEヘビー級王者のエメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)が、同級2位ティム・ジョンソン(米国)と5分3回で対戦。わずか106秒での秒殺KO勝利を飾った。
すでに引退を表明しているヒョードルは、ベラトールとの間に3試合の引退ツアー契約を締結。その第1戦目は19年12月に日本で行なわれたクイントン・ランペイジ・ジャクソン(米国)戦で、その時もKO勝ちを収めていた。
有終の美を飾ろうとする45歳は母国のファンの前でも強かった。割れんばかりのヒョードルコールの中でリングインした“氷の皇帝”は、攻勢に出ようとしたジョンソンが仕掛けてきた瞬間を狙っていた。右フックをダッキングでかわすと、すかさずカウンターの右ストレートを相手の顎に当てこんだのだ。
続け様にヒョードルは、左右のフックをヒット。これには120キロの巨漢ジョンソンも崩れるようにダウン。レフェリーがまもなく試合を止めた。
加齢による衰えから全盛期の身体のキレは見られない。それでも、「人類最強の男」と恐れられたPRIDE時代を彷彿とさせる貫禄のKO劇は、地元ファンを大いに熱狂させた。
無論、国民的英雄でもあるヒョードルの快勝にロシア・メディアも沸いている。ポータルサイト『MK』は、「ほとんどすべての相手をなぎ倒し、偉大だった10年前と変わらない姿がそこにあった。冷血なヒョードルは、9歳年下のジョンソンをスピードで凌駕してロシアの群衆の前で印象的な存在感を示した」と絶賛した。
また、海外メディアも健在ぶりをアピールしたヒョードルに驚嘆する。スペイン紙『AS』が「格闘会の偉大なるレジェンドは、最後に伝説を残しに“家”に帰ってきた」と記せば、クロアチアの専門メディア『fightsite』は、「ロシア最後の皇帝は、ジョンソンとの試合をわずか1分ちょっとで終わらせた」と伝え、こう続けた。
「45歳となったヒョードルだが、その拳はいまだダイナマイト級の強さを誇っていた。ジョンソンは真っ向からヒョードルに対抗しようとしたが、それは賢明な作戦ではなかった。最初の打撃を交わし合った時点で、どちらが優秀かは明白であり、それを証明するかのように2度目の殴り合いですべてが決した」
試合後には「ノックアウトするのは時間の問題だった。危険なんてものはなかった。私は彼よりも早く動き、仕事をしただけだ」と堂々と語ったヒョードル。いまだ意気軒昂といった様子の大ベテラン戦士は、母国凱旋大会をこれ以上ないかたちで締めくくった。
構成●THE DIGEST編集部