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格闘技・プロレス

“怪物”井上尚弥に「尊厳をもって戦い抜いた」ディパエン! 母国メディアは「諦めることを拒否し続けた」と絶賛

THE DIGEST編集部

2021.12.15

最後は井上(手前)のラッシュを受けて敗れたディパエン(奥)。それでも彼の気力あふれる闘いに母国タイも沸いた。(C)Getty Images

最後は井上(手前)のラッシュを受けて敗れたディパエン(奥)。それでも彼の気力あふれる闘いに母国タイも沸いた。(C)Getty Images

「ずっと我慢していたが、8回だけは我慢できなくなった」

 12月14日に両国国技館で行なわれたボクシングWBA&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(大橋)戦を終え、アラン・ディパエンはタイ・メディア『Sanook』などにそうこぼした。幾度となくハードパンチを浴び続けた30歳は、最後は力なく8回TKO負けを喫した。

 下馬評で圧倒的不利と見られていた通り、ディパエンは序盤から井上の強烈なパンチを執拗にボディーに受けた。それでも粘りに粘った。無敵のチャンプが「やっているこっちがメンタルやられそう」と漏らしたほどのタフさを見せつけ、両国を大いに沸かせた。

 だが、7回にボディーを喰らってややふらつく。ここから守勢に回ったディパエンは、8回途中に井上が繰り出した渾身の左ストレートを被弾。一度は気力で立ち上がったが、トドメの左フックを浴びて、レフェリーに止められた。

 最後は地力の差を見せつけられる格好で敗れた。だが、ディパエンの健闘ぶりに母国メディアからは賛辞が相次いでいる。タイのスポーツ専門サイト『SMM Sport』は「ガードを固めながら、より正確にパンチを当てたイノウエは支配的だった」と伝えたうえで、“予想外”の闘いを見せた挑戦者を、次のように評した。
 
「ディパエンは奇跡を起こせなかった。しかし、30歳の彼は、夢の王座を目指して、素晴らしい拳闘を見せつけてくれた。彼は日本のライジングスターを前に尊厳をもって戦い抜いたのだ」

 また、国内最大のポータルサイト『Sanook』は、「あまりに強すぎるイノウエは、あらためてボクシングの難しさを教えた」と絶対王者の凄みに脱帽したうえで、ディパエンの驚異的な粘りにも賛辞を惜しまなかった。

「最強の怪物イノウエに対して、タイの挑戦者は何度も強烈なパンチに襲われ、アザや鼻血を出した。しかし、彼は最後の最後まで歯を食いしばり、レフェリーが試合を止めるまで簡単に諦めることを拒否し続けた。敗れはしたが、ディパエンの姿は実に勇敢だった」

 試合後には「タイのファンや、国、家族のために我慢したから止められたのは悲しい」と沈痛な思いを口にしたディパエン。しかし、彼が見せた奮闘ぶりは、間違いなくタイのひとびとを勇気づけたはずだ。

構成●THE DIGEST編集部

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