バレーボール

バレーボール協会の嶋岡健治会長が、診断書偽造問題で辞意表明。偽造を公表せず「組織を守りたかった。混乱が怖かった」

北野正樹

2021.12.18

来年1月で辞任する嶋岡健治会長。写真:JVA提供

 日本バレーボール協会(JVA)の嶋岡健治会長は12月17日、臨時理事会後のリモート会見で、ビーチバレー事業本部が国際大会のキャンセル手続きに関連し、選手の診断書を偽造し国際バレーボール連盟に提出していた問題の第三者委員会の報告を受け、会長職の解職と理事の辞任を理事会に申し入れたことを明らかにした。

 報告書では、嶋岡会長は文書偽造を約1年前に知りながら公表していなかったことも判明し、管理・監督責任を取った。この日は関係者の処分は決まらず、嶋岡会長は次回2022年1月13日の理事会まで職務を続ける。

 嶋岡会長は、「JVAの管理者として管理責任を十分果たしてこなかったことを痛感した。診断書偽造の事実を知りながら自らを厳しく律して、是正していくガバナンスの実現を怠っていた。トップとしての責任感と覚悟が欠けていた」とし、「公表する責任感や危機管理、決断力の欠如と言わざるを得ない。JVAの信頼を失墜させた責任は非常に重い」と、自身の責任に言及した。また、高野和弘・事務局長も理事会に口頭で理事の辞任も含め、辞職を申し入れた。
 
 理事会では、「報告書の内容が多岐にわたり、読み込んで整理するのに時間が必要」(嶋岡会長)として、この日の処分の決定を見送り、今後、処分案の検討や後任の会長人事などを含め検討委員会を設け、議論を重ねる。

 文書偽造は、今年9月末に一部報道機関の取材を受けたことで、JVAが公表。ビーチバレー事業本部が2020年1月の国際大会で参加申請のキャンセルを期日までに行なわず、別チームが繰り上げ出場の機会を逃したことが発端。偽造は選手へのペナルティーを回避することが目的で、今年1月に協会幹部が厳重注意などの処分を受けていた。

 しかし、第三者委員会での調査で、嶋岡会長はこの処分を検討する過程で診断書の偽造があったことを知りながら、処分発表時に公表しなかったことも判明。今年10月の記者会見では、「今年9月頃まで偽造は知らなかった」と、虚偽の答弁をしていた。

 また、国際大会へのエントリーなどの業務を、大学生のアルバイトに任せ、チェック体制も不十分であったことも判明するなど、JVAのずさんな管理体制も指摘された。