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格闘技・プロレス

「何回も病院に行かないといけない身体」――“シュレック”関根が闘病の先に掴んだ勝利! RIZIN王者も認める努力に脱帽

THE DIGEST編集部

2022.01.01

劣勢を覆しての会心の勝利を飾った関根。試合後にはこの大晦日決戦に懸ける並々ならぬ想いを口にした。(C)RIZIN FF

劣勢を覆しての会心の勝利を飾った関根。試合後にはこの大晦日決戦に懸ける並々ならぬ想いを口にした。(C)RIZIN FF

 無骨ながら逞しい姿が眩しく光った。

 12月31日、さいたまスーパーアリーナで行なわれた『RIZIN.33』の第9試合で、ボンサイ柔術所属でプロレスラーの関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア)が、シビサイ頌真(パラエストラ東京)と対戦。2回にレフェリーストップによるTKO勝ちを収めた。

 元静岡県警の刑事という異色の経歴を持つ120キロの巨漢戦士はシビサイの膝蹴りとパンチの連打を浴びて劣勢になりながらも必死に食らいついた。そして何度タックルを切られても、積極果敢に動いた関根は、相手のスタミナが切れ始めた2回にようやくテイクダウンを奪取する。

 ここに勝機を見た48歳は、パウンド状態から左の鉄拳をシビサイの顔面に何度も打ち下ろして、文字通りのノックアウト勝ちを収めたのだ。

 もっとも、この日に行なわれた全16カードの中では、お世辞にもハイレベルと呼べる内容ではなかった。しかしながら、RIZINの榊原信行CEOが「試合のレベルはあれだけど、脈々と流れ続ける日本の格闘技イズムみたいなものを見せてもらった」と絶賛するように、ドラマチックな試合だった。

 試合後、インタビュールームに登場した関根は、「本当に夢の中にいる感じ。入場する前、自分がここにいること自体が信じられないというか。僕にとっては……ゴールであり、死んでもいいと思って……やったからね」と涙ながらに吐露する。

 そして、自らが下垂体腺腫と闘いながらRIZINという檜舞台に上がる意味の重さを語った。

「自分は下垂体腺腫……まぁ、巨人病ですよね。そういった病気もあって、色んな所に不調がある。それに1か月に1度以上は血液検査をして、毎月何回も病院に行かないといけない身体です。でも、同じ病気の人にも元気になってもらいたかった。今回12月にたくさんプロレスのオファーも頂いたんですけど、これ1本にかけてきた」

 そんな関根の努力は王者も認めるところだ。同大会で矢地祐介(フリー)を破り、RIZINライト級王座を防衛したホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)は、同じトレーニングを重ねてきた48歳を、こう称えている。

「私は関根選手に凄いリスペクトをしている。練習の時に私が疲れていても、彼はまだやる。本当に凄い努力をしている。どんなに『今日はもう練習を終わらせようかな』と思っても、彼はまだジムでやっているから、こっちに『もっと強くならないと』と思わせてくれる。

 よく『彼は大きい』とか『彼は重い』とか言われるけど、みんな忘れている。彼は48歳。48歳で大晦日にRIZINでMMAをやるって人っていないでしょ? だから彼が勝ったのは本当に嬉しいし、彼の勝利が私のモチベーションにもなった。この防衛も彼のおかげ」

 顔面はパンパンに腫れ上がっていた。そんなダメージを負いながらも下馬評を覆して大晦日に快哉を叫んだ関根。「本当に色んな人の思いが自分を頑張らせてくれました」と語る男には、こちらも脱帽させられた。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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