格闘技・プロレス

「勝つためにはそれしかなかった」――シバター、久保優太戦の“舞台裏”を告白。全ては「一世一代の大ブラフ」だった

THE DIGEST編集部

2022.01.08

大みそかにお茶の間を沸かせたシバター。久保を動揺させるために彼の取った“作戦”は小さくない物議を醸している。(C)RIZIN FF

 波紋を広げ続けているRIZINでの"八百長問題"。この舞台裏を当事者であるシバターが語った。

 物議を醸しているのは、昨年の大みそかに行なわれた「RIZIN.33」で、人気YouTuberのシバターが、元K-1王者の久保優太に飛びつき腕ひしぎ逆十字固めで勝利を収めた試合だ。

 師走の番狂わせにお茶の間も沸いた。だが、試合後に"やらせ"を示す両者間でのLINEのスクリーンショットが流出すると、1月5日にはYouTube上で久保が提供したというシバターとの生々しい電話交渉と思われる約7分間の音声データも公開され、一気に衝撃が広がった。

 同大会に出場していた他の選手たちからも非難が寄せられた今回の騒動。これまでシバターは「久保、もしも、台本を受けるんだったら真実は墓場まで持っていくつもりじゃなきゃ」と平静を装ってきたが、だが、ついに"真実"を明かすに至った。

 1月8日に「お騒がせしました」というタイトルで自身のYouTubeチャンネルを更新した36歳は、「本当は全部説明するのは嫌なんだけどね。観ている人に考える余白を与えるのが格闘技、プロレスの楽しみ方だと思うから」と前置きしたうえで、久保やRIZINとのやり取りを告白した。

 当初、皇治と対戦予定だったシバター。それが土壇場でキャンセルとなり、RIZIN側から持ち掛けられたのが、久保戦だった。無論、相手は元K-1王者であり、MMAに転向している猛者だ。「『何とかして勝てないか』と考えに考え抜いて。その結果、相手に油断させる作戦を取った」という。
 
 つまり、本番までに自身の動画で「やる気がない」「顔面を打たれると左半身がしびれる」と公開した内容や台本などの提案も、すべてがブラフ。シバターにとっては勝利のための作戦だったのだ。

 誓約書は書かせずにLINEなどでやり取りをすることで久保を動揺させた。しかし、それでも相手を「完全にはダマせたと思っていなかった」。事実、試合について「距離もガンガン詰めてくるし、遊びを許さない感じだった」と語るシバターは、「僕は勝ちたかっただけ」と持論を続けた。

「正直、この作戦をいろんな人が汚いだの、スポーツマンシップに反するだの、言ってはいるが、ガチンコでやったら、勝率は10%もなかった。僕が勝つためにはそれしかなかった」

「僕の方が久保さんより勝ちたいという気持ちの方が強かった。みんな、他のプロは『(正々堂々と)勝ちたい』『(男らしく)勝ちたい』とかだろうけど、俺は『(何をしてでも、どんなに卑怯なことをしてでも)勝ちたい』だった。その気持ちの違いなんじゃないかな」

 さらに「(運営側も)全部含めて、ペテンにかけて、食ってやりたかった。それで一世一代の大ブラフをかましてやった」と訴えたシバターは、「久保優太、完全にお前の負けだよ。ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ」とキッパリ。人気YouTuberとしての"プライド"を示した。

 なお、一連の問題について、RIZINはいまだ公式見解を示していない。それだけに、今後の動向に引き続き注目する必要がありそうだ。

構成●THE DIGEST編集部