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「オリンピック精神に反している」五輪メダル有力の中国人スキーヤーの“国籍変更”に米専門家が異議

THE DIGEST編集部

2022.01.21

2019年から母の母国の代表としてプレーするアイリーン・グー。(C)Getty Images

2019年から母の母国の代表としてプレーするアイリーン・グー。(C)Getty Images

 北京五輪のフリースタイルスキーで、優勝候補筆頭とも言われる中国人アイリーン・グー(中国名:谷愛凌)。地元中国では彼女への期待が高まる一方で、アメリカでは不満の声が漏れている。

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 昨年3月に行なわれた世界選手権ではスロープスタイルとハープパイプの2種目制した18歳。今季のW杯ではビッグエアで1度、ハーフパイプで4度優勝。スロープスタイルでも銀メダル1つを手にし、文字通り勢いに乗っている。

 父が米国人で母が中国人の彼女は米国で生まれ育ち、幼少期からアメリカ代表としてスキーの才能を見せていた。ところが15歳の時に急遽国籍を変更し、中国代表になった。当時、本人はSNSで「非常に厳しい決断だった」と吐露したうえで、自身の役割をこう説明していた。

「2022年北京五輪では母の生まれ故郷の若者を勇気づける機会で、私が愛するスポーツを促進するための一生に一度の機会。スキーをとおして、人を結び、共通の理解とコミュニケーションを生み出し、国家間の友好関係を築きたい」
 
 だが、今や大スターとなった彼女を快く応援する者は、アメリカには少ないようだ。グーの国籍変更はオリンピックのあるべき姿と相反するものだとウェスタンカロライナ大学でスポーツマネジメントの准教授ハイジ・グラペンドルフ氏が訴えていると、米国営放送『Voice of America』の中国版サイトは伝えている。

 そもそも「近代オリンピックの父」と呼ばれるピエール・ド・クーベルタン男爵が提唱したオリンピックのあるべき姿とは、「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」というものだ。

 グラペンドルフ准教授は、このオリンピズムに対し国籍変更の制度を疑問視。「自国を代表する選手を見つけることは疑わしい慣習で、IOCの検討課題である。これは本質的にオリンピック精神に反していて、IOCはこの問題に取り組むことを躊躇している」と述べ、こう異議を唱えた。

「それぞれの国が他の国から選手を取ってきて、より良く競わせようとするけど、それは明らかにオリンピックの精神に反している」

 グーに限らず度々目にする国籍変更。果たしてオリンピズムに則しているのだろうか……。

構成●THE DIGEST編集部

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