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フィギュア

「スケート人生のすべて」を懸けて――念願の五輪に挑む樋口新葉が進化を遂げた理由とは?【北京五輪】

長谷川仁美

2022.02.02

北京五輪代表入りを果たした樋口。トリプルアクセルを武器にメダル獲得を狙う。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

北京五輪代表入りを果たした樋口。トリプルアクセルを武器にメダル獲得を狙う。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 4年前、本当にあと少しのところで平昌五輪出場を逃した樋口新葉。それから、いいときも悪いときも経験した彼女は、今、誰もが納得の「北京五輪代表」となった。4年間の進化には、どんな背景があったのだろうか。

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 ひとつには、トリプルアクセルの習得が挙げられる。平昌五輪から約2週間後の世界ジュニア選手権でアレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)が4回転2種を成功させてから、女子シングルは急速に高難度ジャンプの時代に突入した。そのなかで樋口は、2019-20シーズンから試合でトリプルアクセルにチャレンジしている。高難度ジャンプを入れることで不安定になることもあったプログラムだったが、逃げずに、ずっとトリプルアクセルに挑み続けた。

 昨年12月の全日本選手権のフリーでも、「トリプルアクセルについてはまったく迷いなく、やるつもりで挑んできたので(跳んだ)」と、踏み切った。ステップアウトになったもののトリプルアクセルと認定され、「(これまでで)今日が一番緊張したので、そのなかでステップアウトで抑えられたのはすごく大きかった」と、手応えも得た。

 今シーズン、自分を追い込めたことも大きい。樋口は、オリンピックに挑戦するのは今回で最後という気持ちで、日々を過ごしていた。「4回転を跳ぶ選手がたくさん出てきているので、現実的に、自分が挑戦するのは(これが)最後って決めないと、ここまで頑張れないって思ったので」と、覚悟を決めた。そうしてすべてを懸けて、全日本選手権に臨んだのだ。
 
 4年前の自分のことを、「勝つことだけを考えて、すごく狭い気持ちの中でスケートに向かっていた。スケート本来の楽しさ、おもしろさを感じられないまま、試合やシーズンに向かっていたりした」と振り返る。だが「この1、2年くらいは、スケートがすごく本当に楽しい」という。

 そう変わるまで、樋口はさまざまに考え、試行錯誤してきた。

「こんなに勝ちにこだわっても勝てない、っていうのがわかったので。逆に、自分がやりたいことをやって、本当に楽しいとか幸せっていう気持ちを練習から出していけるように、それを感じ取りながらすべてをポジティブにとらえられるように」と思いながら、スケートに向き合うようになった。

「練習でもつらいことはたくさんありますし、試合でも結果がついてこなかったり自分の力が発揮できなかったりすることもたくさんありました。けど、それもプラスに変えられるように」と意識している。

 すると、変化が見えてきた。
 

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