オーストリアが誇る女子スキージャンプのエースが目指した五輪金メダルの夢は、新型コロナウイルスの影響により儚く散った。

　現地時間２月１日、オーストリア・スキー連盟は「残念ながらCT値が非常に低く、中国への入国（必要なCT値が35を超える）は不可能」とし、マリタ・クラマーを北京五輪のエントリーリストから外すと発表した。

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　１月29日に行なわれたW杯で今季６勝目を挙げ好調ぶりを見せていた20歳のエースは、大舞台を前に見えない敵との闘いで敗れた虚しさを自身のSNSで、こう記している。

「言葉も感情もない。ただ空虚。世界は本当に不公平なんじゃないか？ 昨年から五輪の準備をしてきたのに。夢を叶えるためにたくさんのエネルギーと時間を費やしてきたけど、今では夢が１日も経たないうちに消えたような感じ」
 
　絶対女王のまさかの離脱。この衝撃的なアクシデントには多くのファンや関係者らも、言葉を失い、クラマーの投稿には700件を超える激励のメッセージが寄せられている。そのなかでメダル争いをするはずだった日本のエース高梨沙羅は、「本当に残念…。早く良くなって、すぐにジャンプ会場で会えるのを楽しみにしてます」とエールを送った。

　平昌大会金メダルながら今大会は欠場するマーレン・ルンビ（ノルウェー）も、「こんなのフェアーじゃない！」と嘆き、また昨年11月コロナ陽性反応でW杯の中断を強いられた男子の小林陵侑は、「言葉がないよ…」とクラマーの気持ちをおもんぱかった。

　実はクラマーの不運は今回だけでない。昨年２月にもコロナに感染してW杯２大会を欠場を強いられ、初の年間総合優勝を逃していた。この悔しさを糧に、今後さらに良いパフォーマンスを見せてくれると願いたい。

構成●THE DIGEST編集部

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