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フィギュア

「このネットいじめは行き過ぎだ」明暗が分かれた中国代表の“帰化選手”の扱い――。猛バッシングに国内でも賛否両論【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.09

フィギュアスケート中国代表のイ・ジュウと、フリースタイルスキーのビッグエアで金メダリストとなったアイリーン・グー。 (C)Getty Images

フィギュアスケート中国代表のイ・ジュウと、フリースタイルスキーのビッグエアで金メダリストとなったアイリーン・グー。 (C)Getty Images

 波紋は広がり続けている。

 フィギュアスケート競技の団体戦で中国は総合5位に終わった。女子シングルの選手として参加したイ・ジュウ(朱易)。先日行なわれたショートプログラム(SP)、フリースケーティング(FS)で演技したが、ジャンプの転倒などが響き、望まれた結果を出すことはできなかった。

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 この不振に対して、母国からのバッシングが絶えない。中国のSNSであるWeibo(微博)ではジュウの名前がトレンド入りし、ひどい罵声が飛び交った。Weiboはこれまでに93のアカウントを停止し、400以上の投稿を削除するなど対処しているが、それでもなお、19歳のスケーターに対する声は目が覆いたくなるようなものが流れている。

 米国ロサンゼルス生まれのジュウは、2018年に科学者である父の母国である中国に帰化。北京五輪代表の選考会によって代表に選出されたが、競技会の不透明性などから国内のファンから不満の声が続出し、さらに中国語を流ちょうに話すことができない点などが取り沙汰され、”叩かれる”要素となっているようだ。

 しかし、こうしたバッシングを非難する声が中国国内からも上がっている。海外ニュースを主に扱う『環球時報』紙の元編集長であるヒュー・ジン氏はSNSで「この若いアスリートに感情をぶつけ、彼女がミスをしたときにソーシャルメディアを使って石を投げつけることはネットいじめであり、どうしたって行き過ぎだ」と公に非難。この投稿は広く拡散されている。

 
 また、ジュウと同じく帰化選手であり、北京五輪フリースタイルスキーのビッグエアで金メダリストとなったアイリーン・グー(谷愛凌)は、「ミスをすることも、プレッシャーを感じることも、すべてスポーツの一部」とコメントし、気遣いを見せたという。 

 米国人の父と中国人の母を持つ18歳のグーは、米国生まれの米国育ち。15歳のときに中国代表に転身し、今回の北京五輪に臨んだ。国内での人気も抜群で、ビッグエアでの金メダル獲得が報じられた際には、Weiboがグー関連のキーワードで埋め尽くされたという。

 英公共放送『BBC』はこの”格差”に着目し、「中国チームの選手たちは、国民からの大きな監視の目にさらされ、国の栄光のためにメダルを獲得しなければならないという計り知れないプレッシャーに晒されている」と綴っている。

「ジュウは、冬季五輪におけるメダル獲得施策のために中国が帰化させた12人のアスリートのうちのひとりだ。だが、ここまでの彼女の扱いを、同じアメリカ生まれであるアイリーン・グーと比較する声も上がっている。グーは中国で広く慕われ、『雪姫』というニックネームさえつけられている。そして運動能力だけではなく、中国語のスキルや中国文化の受け入れも称賛されているのだ」

 果たして、国策としての帰化選手の受け入れはこのオリンピックで何をもたらすのか。ジュウは、女子シングル選手としての個人戦にも参加する予定だ。15日からの試合で、悔しさを晴らす演技ができるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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