世界的なバッシングにさらされた15歳は号泣した。

　２月17日、北京五輪のフィギュアスケート女子シングルフリースケーティング（FS）が行なわれ、ドーピング騒動の渦中にあるカミラ・ワリエワ（ロシアオリンピック委員会＝ROC）が最終滑走に登場。冒頭で４回転サルコーを着氷したものの、持ち味のジャンプでことごとく精彩を欠き、141・93点の合計224・09点で４位に終わった。

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　昨年12月に採取した検体から禁止薬物トリメタジジンが検出されるも、スポーツ仲裁裁判所の裁定によって今大会への継続参加が承認されたワリエワ。しかし、それに対するバッシングは凄まじく、15歳がメンタル的に追い込まれていたのは、想像に難くない。

　演技後にガクッと肩を落とし、嗚咽を漏らすように涙したワリエワ。そんな悲劇的とも言える少女の姿に、母国の識者たちは同情の声を寄せた。

　競技直後に地元通信社『RIA Novosti』の取材に応じた国内屈指の名伯楽として知られるタチアナ・タラソワは、「演技前から彼女の心はとっくに折れていた」と指摘。そのうえで「あのカミラをいったいどうやって慰めるの？ 彼女は世界から痛めつけられ、傷つけられ、心身ともに殺され、すべてを台無しにされた。私たちが今日見たのはその結果であり、フィギュア界全体のダメージになる」と憂いた。
  　また、2002年のソルトレークシティー五輪の銀メダリストであるイリーナ・スルツカヤは、母国放送局『Russia 1』の中継で、「これは間違いなく悲劇です」と持論を語った。

「彼女を思うと涙が出てきますね。彼女はとてつもないプレッシャーに耐えてきた。浴びせられた酷い言葉のせいで、15歳の子どもが夜も眠れず、あちこちに引っ張り出され、いろいろな報道をされた。きっと精神的に参ってしまったのでしょう。周りの大人たちが、あの子を壊してしまったのだと思う」

　世界が注目する檜舞台で精彩を欠いたワリエワ。その姿に対する反響はしばらく止みそうにない。

構成●THE DIGEST編集部

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