2月17日、北京五輪のフィギュアスケート女子シングルのフリースケーティング(FS)が行なわれた。
優勝は、ショートプログラム(SP)で2位につけていたロシアオリンピック委員会(ROC)のアンナ・シェルバコワ。SP首位だったカミラ・ワリエワを抜き去って栄冠を掴みとった。そんな17歳に続いて2位に滑り込んだのが、SP4位のアレクサンドラ・トゥルソワ(ROC)だ。
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FSでの逆転優勝を狙ったトゥルソワは、『Cruella』にのせ、4回転ジャンプ5本という高難度構成に挑戦し、見事に5本とも着氷。もちろんすべてがクリアではなく、冒頭の4回転フリップにはアテンションがつき、3本目の4回転トゥループはステップアウト。最後に跳んだ4回転ルッツにはqマーク(1/4回転不足)がついた。だが、2本目の4回転サルコー、プログラム後半の4回転ルッツ+3回転トゥループは完璧に着氷。とくに後者はこの1つのエレメンツだけで17・27点を稼いだ。
稼いだ技術点106・16は、男子シングルの羽生結弦(99・62点)、宇野昌磨(96・24点)を上回っている値。さらに獲得したFS177・13点は女子シングルFSにおける歴代2位のハイスコアであり、今回のフリーではトップの成績だった。しかし、総合スコアでシェルバコワに1・38点だけ及ばず、銀メダルに甘んじたのである。
試合後、本人は悔しさを抑えきれなかった。舞台裏でコーチのエテリ・トゥトベリーゼに迎え入れられても、不満げな表情でハグを拒否。その様子が各国のテレビ中継で放映され、大きな話題を呼んだ。
また、セルゲイ・デュダコフコーチに対しても、「セレモニーには行かない! 私は参加しない」と声を張り上げている姿も捉えられた。その後、コーチたちに付き添われながらリンクサイドに姿を見せ、マスコットセレモニーには参加したが、その際もエテリコーチを拒む様子を見せたという。
この一件について、「4回転ジャンプ5本を着氷しても金メダルに手が届かなかったことに対する怒り」と伝えた露メディア『sport.ru』によれば、ミックスゾーンでも沸き立つ感情を抑えられなかったトゥルソワが、「こんな競技は嫌い。もう二度と氷の上には戻らない」と激しい口調のロシア語で吐露した様子もすっぱ抜いている。
もっとも、セレモニー後、メダリストの会見に出席したトゥルソワは、「5本のクワドをやりきったことには満足しているけれど、結果には満足していない。だからこそ、怒りと失望を覚えた」と心境を明かした。
「これを達成するまでには長い時間がかかった。過去3年間、重要な大会で優勝したことがなくて、より高い目標を達成するために、より多くの4回転ジャンプを獲得しようと思った。そうすれば、勝てると思ったから。
SPの後、コーチは4回転サルコーは外したほうがいいと言ったけれど、私は『いや。5クワドをやります』と言ったんです。5本おりきる瞬間をずっと待っていて、うまくいった。それができたことは何よりもうれしい」
ちなみに、泣いた理由については「もうここに3週間、母と犬なしでいる」とコメント。「本当に競技を辞めてしまうのか?世界選手権は?」という質問には、声を震わせながらも「よく考えて、今後どうするか決めようと思います」と明言を避けた。
競技こそ終わったものの、ワリエワを巡る騒動や特殊な条件下での開催が、選手に及ぼした影響は計り知れない。ただ、17歳のトゥルソワの挑戦がオリンピック史に刻まれたのは、たしかだ。
構成●THE DIGEST編集部
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FSでの逆転優勝を狙ったトゥルソワは、『Cruella』にのせ、4回転ジャンプ5本という高難度構成に挑戦し、見事に5本とも着氷。もちろんすべてがクリアではなく、冒頭の4回転フリップにはアテンションがつき、3本目の4回転トゥループはステップアウト。最後に跳んだ4回転ルッツにはqマーク(1/4回転不足)がついた。だが、2本目の4回転サルコー、プログラム後半の4回転ルッツ+3回転トゥループは完璧に着氷。とくに後者はこの1つのエレメンツだけで17・27点を稼いだ。
稼いだ技術点106・16は、男子シングルの羽生結弦(99・62点)、宇野昌磨(96・24点)を上回っている値。さらに獲得したFS177・13点は女子シングルFSにおける歴代2位のハイスコアであり、今回のフリーではトップの成績だった。しかし、総合スコアでシェルバコワに1・38点だけ及ばず、銀メダルに甘んじたのである。
試合後、本人は悔しさを抑えきれなかった。舞台裏でコーチのエテリ・トゥトベリーゼに迎え入れられても、不満げな表情でハグを拒否。その様子が各国のテレビ中継で放映され、大きな話題を呼んだ。
また、セルゲイ・デュダコフコーチに対しても、「セレモニーには行かない! 私は参加しない」と声を張り上げている姿も捉えられた。その後、コーチたちに付き添われながらリンクサイドに姿を見せ、マスコットセレモニーには参加したが、その際もエテリコーチを拒む様子を見せたという。
この一件について、「4回転ジャンプ5本を着氷しても金メダルに手が届かなかったことに対する怒り」と伝えた露メディア『sport.ru』によれば、ミックスゾーンでも沸き立つ感情を抑えられなかったトゥルソワが、「こんな競技は嫌い。もう二度と氷の上には戻らない」と激しい口調のロシア語で吐露した様子もすっぱ抜いている。
もっとも、セレモニー後、メダリストの会見に出席したトゥルソワは、「5本のクワドをやりきったことには満足しているけれど、結果には満足していない。だからこそ、怒りと失望を覚えた」と心境を明かした。
「これを達成するまでには長い時間がかかった。過去3年間、重要な大会で優勝したことがなくて、より高い目標を達成するために、より多くの4回転ジャンプを獲得しようと思った。そうすれば、勝てると思ったから。
SPの後、コーチは4回転サルコーは外したほうがいいと言ったけれど、私は『いや。5クワドをやります』と言ったんです。5本おりきる瞬間をずっと待っていて、うまくいった。それができたことは何よりもうれしい」
ちなみに、泣いた理由については「もうここに3週間、母と犬なしでいる」とコメント。「本当に競技を辞めてしまうのか?世界選手権は?」という質問には、声を震わせながらも「よく考えて、今後どうするか決めようと思います」と明言を避けた。
競技こそ終わったものの、ワリエワを巡る騒動や特殊な条件下での開催が、選手に及ぼした影響は計り知れない。ただ、17歳のトゥルソワの挑戦がオリンピック史に刻まれたのは、たしかだ。
構成●THE DIGEST編集部
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