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記憶から消えない失投。イギリスのカーリング名手が語った日本への“リベンジ”「忘れたい瞬間が、何度も頭の中に」【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.19

イギリスの精神的支柱でもあるミュアヘッド。彼女は日本戦に並々ならぬ想いがある。(C)Getty Images

「あの場面を忘れたことはない」

 北京五輪のカーリングイギリス代表のイブ・ミュアヘッドは、日本代表のロコ・ソラーレへの雪辱に燃えている。

 現地時間2月18日に北京五輪のカーリング女子準決勝が行われ、イギリスはスウェーデンに延長戦の末に12-11で逆転勝ち。2002年のソルトレークシティー五輪以来となる決勝に駒を進めた。

 まさに手に汗握るシーソーゲームだった。第1エンドで4点を取られてしまったイギリスだが、第5エンドに同点に。その後は激しい点の取り合いとなったが、延長で前回大会の覇者を退けた。ヘッドコーチのデビッド・マードック氏も、「最初に4点を取られたところで統計的に勝利は不可能だと思っていた。信じられない」と目を丸くする逆転劇だった。

 そんなイギリスが決勝で対峙するのは、スイスとの接戦を制した日本。2018年の平昌五輪の3位決定戦で敗れた相手だ。その注目の一戦で、とりわけ打倒日本に強い執念を見せるのが、チームを引っ張るスキップのミュアヘッドなのである。
 
 彼女には、忘れがたい苦い記憶がある。

 4年前の平昌五輪の3位決定戦。3-4とリードされていたイギリスは、優位な後攻で迎えた第10エンドに、優位な状況で逆転を狙っていた。ラストショットまでに自分たちのストーンが中心地に近い絶好のチャンスを作った。そのなかで期待を一身に背負ったミュアヘッドが投じたショットはわずかに狙った軌道からずれると、弾いた日本の石が中心へ滑っていったのである。

 まさに痛恨の失投。ゆえに31歳のベテランは、リベンジに燃えるのだ。スウェーデン戦後に応じた英公共放送『BBC』のフラッシュインタビューで「4年前の事はいまも覚えている」と振り返っている。

「前回のオリンピックで、銅メダルをかけて日本と対戦したときに、私が勝てるはずのショットを外してしまったのは、とてもつらかった。私にとって忘れたい瞬間だったけど、それ以来、何度も頭の中に出てくる」

 待ちに待った雪辱戦の舞台は決勝。ミュアヘッドは、こうも語った。

「今度は金メダルをかけて日本と対戦できるのは、ある意味で喜ばしいこと。私は日本の女子チームが大好き。試合はいつもとても楽しいし、彼女たちのようなチームとこうして決勝で対戦できることは、このスポーツにとって素晴らしい部分」

 はたして、大一番はいかなる結末を迎えるのか。最後に「またあの状況がくるかもしれないけど、それがカーリングでしょ? また、あんな最後の一投が私のところに来ることを楽しみにしてる」と強気に言い放ったミュアヘッドのパフォーマンスは、日本ともに興味深いものとなりそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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