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「本当の援助へ焦点を移して!」ロシアの女子フィギュア選手が世界情勢へ胸中吐露「今はどんな投稿も憎しみになる」

THE DIGEST編集部

2022.03.03

世界選手権制覇などロシア国内でも屈指の実力を発揮してきたトゥクタミシェワ。彼女は母国へ締め付けが苦しくなる現状に持論を口にした。(C)Getty Images

世界選手権制覇などロシア国内でも屈指の実力を発揮してきたトゥクタミシェワ。彼女は母国へ締め付けが苦しくなる現状に持論を口にした。(C)Getty Images

 先月24日にウラジミール・プーチン大統領の特殊作戦の宣言を発端に始まったロシアのウクライナ侵攻。戦火が日に日に大きくなるなかで、ロシア人アスリートたちは小さくない不安を抱えている。

 先月28日には、IOC(国際オリンピック委員会)が、ロシアとそれを支援するベラルーシの選手、関係者をあらゆる国際大会から除外するように各競技連盟に勧告。これに続くようにFIFA(国際サッカー連盟)やISU(国際スケート連盟)も、両国選手団の国際大会からの締め出しを決定した。

 ロシアへの制裁が強まる国際情勢。ウクライナへの侵攻が続く以上は致し方のない面はある。だが、軍やプーチン大統領の決定とは無関係なアスリートたちは活躍の場を奪われ、SNSなどでは誹謗中傷の被害に遭うケースも目立ち始めている。

 そんな現状へ持論を語ったロシア人選手がいる。2015年の世界選手権を制覇した女子フィギュアスケーターであるエリザベータ・トゥクタミシェワだ。

 現地時間3月3日に自身のインスタグラムを更新した25歳は、「今はどんな投稿も憎しみの対象になる。だけど、私はやってみる。恐怖、恨み、怒りのなかに、愛はまだ生きている。そのことを多くの人に思い出してほしいと心から思う」と書き出し、次のように続けた。

「確かに状況はとても困難だけど、SNSのコメントで議論したり、ニュースを延々と読んだりする代わりに、私たちは別の方向にエネルギーを向けることができると思う。いま、辛い思いをしている人たちをサポートし、心理的に過酷な状況に対処するのが難しい大切な人たちの助けになれるはず。個人的に知っている人、あるいはまったく知らない人であっても、助けを必要としている人を助けることができる」

 支援の輪を広げる動きを活発化させるべきと訴えたトゥクタミシェワは、「財団や組織を支援することもできるし、少額だろうと募金という手もある。衣服や食料などを送ることだってできる」と強調。そのうえで、投稿を強い言葉で締めくくっている。

「話題となっているニュースを延々とスクロールすることよりもやれることがある。本当の援助へ焦点を移してほしい。これが今、私たちに一番必要なことだと思う」

 世界が揺らぐなかで、平和のためにSNSで“異”を唱えたトゥクタミシェワ。この実力派スケーターの言葉が、世界の人々に届くと願いたい。

構成●THE DIGEST編集部

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