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「ピーーース!」パラ開会式でパーソンズ会長の発した“反戦スピーチ”を中国国営テレビが無音&無翻訳で放送

THE DIGEST編集部

2022.03.05

世界に向けて熱いメッセージを発したパーソンズ会長。だが開催国・中国では一部が無音になるなど放送されなかった。(C)Getty Images

世界に向けて熱いメッセージを発したパーソンズ会長。だが開催国・中国では一部が無音になるなど放送されなかった。(C)Getty Images

 現地3月4日、北京パラリンピックが開幕した。開会式では北京オリンピックにも負けない壮大なセレモニーが繰り広げられ、46の国と地域からおよそ560人が参加するスポーツの祭典が幕を上げた。
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 その開会式で、ひときわ大きな歓声を浴びたのが、IPC(国際パラリンピック委員会)のアンドリュー・パーソンズ会長だ。演説の壇上に上がり、開口一番に「今夜はまず平和のメッセージから始めたい、いや始めなければならない」と力強くスタートさせると、「21世紀は対話と外交の時代。戦争と憎しみの時代ではない」と強調した。

 ロシア軍によるウクライナ侵攻に対して確固たる私見を述べ、「オリンピックとパラリンピック期間の休戦は、国連決議として193の国連加盟国の総意によって採択された。それはいかなる状況であっても尊重し守られるべきもので、違反があってはならない」と主張。そして「世界は共に生きる場であるべきだし、決して分断されてはならない」と反戦の意を示した。

 最後に「謝々(ありがとう)! Thank you very much(本当にありがとう)! Muito obrigado(本当にありがとう)!」と感謝の言葉を伝え、両手の拳を固く握り締めて「ピーーース(平和)!」と絶叫した。出席したアスリートや関係者だけでなく、一般の中国人が詰めかけた観客席からも万雷の拍手が沸き上がったのだ。

 前日の出来事が、パーソンズ会長の思いを熱くさせていたのは想像に難くない。IPCはロシアとベラルーシの選手団の大会参加を条件付きで認める裁定を下していたが、開会式前日になって撤回を余儀なくされた。裁定に異議を唱えてボイコットを示唆する代表団が続出したためで、大会運営の観点から、パーソンズ会長は苦しい決断を迫られたのである。
 

 一方で、パーソンズ会長の名演説を「良し」としなかった国がある。ほかでもない、パラリンピックの開催国である中国だ。欧米主要メディアが一斉に報じたのが、中国国営放送『中国中央電視台』によるまさかの対応だった。

 親ロシアとされる中国にとって、パーソンズ会長のコメントは看過できないものだったのだろう。演説の途中から中継画面には会長のコメントを翻訳する文章が掲載されず、一部では無音となる場面も頻発したという。ロシア側への配慮があったと考えられるが、中国版ツイッターの「ウェイボー」には「なぜ音が切れた?」「なにを言ったか知りたい」「放送事故ではないはずだ」など苦情が殺到している。

 北京パラリンピックは3月13日まで開催され、6競技・78種目でメダルが争われる。

構成●THE DIGEST編集部

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