先月にアメリカで開催された水泳選手権でのあるレースが小さくない話題となっている。
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話題の中心にいるのは、2020年まで男性として競技を続けていた米ペンシルベニア大学に通うトランスジェンダーのリア・トーマス。昨秋から女性として参戦を続ける彼女は、アイビーリーグ選手権の500ヤード(約457メートル)自由形を制覇。さらに200ヤード(約183メートル)自由形でも1分43秒12の大会新記録で優勝と力を見せつけたのである。
元男性であるトーマスだが、ルール上は何も問題はない。性転換後に男性ホルモンのテストステロンのレベルを1年間以上抑制。NCAA(全米大学スポーツ協会)の規則をきっちりと守っている。
だが、元男性であるトーマスの参加に反発する者も少なくない。そして女性のカテゴリーでの支配的なタイムには、SNSで批判的な声が相次いだ。英スポーツ・メディア『Sportbible』は匿名の大学生スイマーのコメントとして「NCAAの幹部は、誰も女性の権利を守ろうとしない」と紹介した。
「もし、男性のスポーツで、今回みたいな不平等があったと想像してください。きっと瞬く間に明確な措置を下すはずだ。でも、今回は女性だから気にしてない」
SNSでの心無い誹謗中傷を含めて、トーマスに対しては、批判的な意見が強まった。だが、当の本人は、そうした意見を意に介していない。
米誌『Sports Illustrated』のインタビューに応じた23歳は、「答えはいつもシンプル。私は男じゃない。私は女だし、トランスジェンダーも他のアスリートたちと同様に、もっと尊重されていいはず」と訴えている。
「トランスジェンダーの悩みを抱える子どもたちや、私よりも若いトランスジェンダーのアスリートたちに、『自分は一人じゃない』ということを示したい。自分らしさと好きなスポーツのどっちかを選ぶ必要はないんだと伝えたい。正直、これから私の水泳人生の未来がどうなるかはわからない。けど、続けられるなら、続けていきたい。自分らしく泳いで、競争していきたい」
現在、SNS上でのバッシングが強まり、ダイレクトメッセージの封鎖を余儀なくされているというトーマス。それでも「私は毎日でも水の中にいて、泳いでいたいし、競争がしたい」と語る彼女は、次のように続けている。
「もうそうしたヘイターについて調べることはしない。私は泳ぐためにここにいる。チームの他の人と同じように、私はいつも自分をただの水泳選手として見てきた。長い間やってきたことだし、好きなことだから続ける。そしてベストを尽くしていきたい」
批判にもめげず、純粋に水泳に取り組む彼女の想いは、周囲にも届いている。同誌は、「同大学の水泳部のある母親の手紙の一部」として、次のコメントを抜粋している。
「私たちはリアを支持し、彼女が幸せな人生を送ることを望んでいる。もう彼女のような選手を傍観することはできない。私たちがここで声を上げなければ、次から次へと違う大学で同じようなことが起きる。もう世界は変わっている」
順調に成長を続ければ、2024年のパリ五輪にも選出される可能性があるというトーマス。彼女が国際的な大舞台で躍動する日は訪れるのか。その泳ぎを興味深く見守りたい。
構成●THE DIGEST編集部
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元男性であるトーマスだが、ルール上は何も問題はない。性転換後に男性ホルモンのテストステロンのレベルを1年間以上抑制。NCAA(全米大学スポーツ協会)の規則をきっちりと守っている。
だが、元男性であるトーマスの参加に反発する者も少なくない。そして女性のカテゴリーでの支配的なタイムには、SNSで批判的な声が相次いだ。英スポーツ・メディア『Sportbible』は匿名の大学生スイマーのコメントとして「NCAAの幹部は、誰も女性の権利を守ろうとしない」と紹介した。
「もし、男性のスポーツで、今回みたいな不平等があったと想像してください。きっと瞬く間に明確な措置を下すはずだ。でも、今回は女性だから気にしてない」
SNSでの心無い誹謗中傷を含めて、トーマスに対しては、批判的な意見が強まった。だが、当の本人は、そうした意見を意に介していない。
米誌『Sports Illustrated』のインタビューに応じた23歳は、「答えはいつもシンプル。私は男じゃない。私は女だし、トランスジェンダーも他のアスリートたちと同様に、もっと尊重されていいはず」と訴えている。
「トランスジェンダーの悩みを抱える子どもたちや、私よりも若いトランスジェンダーのアスリートたちに、『自分は一人じゃない』ということを示したい。自分らしさと好きなスポーツのどっちかを選ぶ必要はないんだと伝えたい。正直、これから私の水泳人生の未来がどうなるかはわからない。けど、続けられるなら、続けていきたい。自分らしく泳いで、競争していきたい」
現在、SNS上でのバッシングが強まり、ダイレクトメッセージの封鎖を余儀なくされているというトーマス。それでも「私は毎日でも水の中にいて、泳いでいたいし、競争がしたい」と語る彼女は、次のように続けている。
「もうそうしたヘイターについて調べることはしない。私は泳ぐためにここにいる。チームの他の人と同じように、私はいつも自分をただの水泳選手として見てきた。長い間やってきたことだし、好きなことだから続ける。そしてベストを尽くしていきたい」
批判にもめげず、純粋に水泳に取り組む彼女の想いは、周囲にも届いている。同誌は、「同大学の水泳部のある母親の手紙の一部」として、次のコメントを抜粋している。
「私たちはリアを支持し、彼女が幸せな人生を送ることを望んでいる。もう彼女のような選手を傍観することはできない。私たちがここで声を上げなければ、次から次へと違う大学で同じようなことが起きる。もう世界は変わっている」
順調に成長を続ければ、2024年のパリ五輪にも選出される可能性があるというトーマス。彼女が国際的な大舞台で躍動する日は訪れるのか。その泳ぎを興味深く見守りたい。
構成●THE DIGEST編集部
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