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「何ができるかワクワクしている」角田裕毅、シーズン開幕に向けて抱える自信と慎重さ。F4時代以来の鈴鹿にも期待

THE DIGEST編集部

2022.03.18

コンストラクターズランキング5位以上を目指すアルファタウリにおいて、角田には昨シーズン以上の活躍が期待されている。(C)Getty Images

 今週末にバーレーンで幕を開ける2022年F1世界選手権。新レギュレーション施行による新時代のF1が、そのベールを脱ぐことになる。

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 昨季、チーム史上最高ポイントを獲得した一方で、目標であるコンストラクターズランキング5位の座をわずか13ポイント差で取り逃がしたアルファタウリは、そのリベンジを果たすとともに、さらなる躍進が期待される。そこで大きな鍵を握るのが、F1キャリアの2年目を迎える角田裕毅だ。

 昨季はアップダウンに富んだ1年を過ごし、苦労も多かった角田だが、開幕戦バーレーンGPで見せ場を作っての9位入賞という印象的なデビューを飾り、終盤戦になるとF1に慣れ始めて好パフォーマンスを発揮し、最終戦アブダビGPでは全セッションでチームメイトのピエール・ガスリーを上回っての4位入賞でシーズンを締め括った。

 多くの経験を得て臨む2年目は、飛躍を期待されるものであると同時に、F1での今後のキャリアを占う上でも重要なものとなり、ある意味、大きなプレッシャーがこの日本人ドライバーにかかることになるが、彼はチームの公式サイトを通して、開幕戦に向けての意気込みを語っており、その中で新シーズンへの自信も窺わせている。

「昨季のバーレーンGPよりも、はるかに準備が整っていると感じており、シーズンが楽しみです。フィジカル面も全体的に、昨季から大きく改善しましたし、シーズンを目前にした今、違いを感じています。昨季は何も期待できず、全ての状況で完全にコントロールするはできませんでした。しかし今は、自分が改善するために何をしなければならないか、よく分かっています。僕には明確な目標があるし、よりリラックスしています。僕はハッピーで、精神状態も良く、最初のレースに向けて準備ができています」
 
「確かに、昨季よりも多くのものをチームにもたらさなければならず、またミスを減らす必要もありますが、プレッシャーは感じていません。僕はそれを達成できると確信しており、ミスを犯すことについても心配していません。チームと一緒にシーズンを通して車を開発し、彼らに良いフィードバックを与えることに集中していますし、それをやり遂げる自信があります」

 こう語る彼は、自信の根拠として「今回はシンガポールとオーストラリアを除けば、ほとんどのコースを分かっているし、鈴鹿でも走ったことがあります。ただ、それはF4時代のことで、F1カーよりもラップタイムは1周45秒(!)も遅かったですが……」と語っている。

 新レギュレーション下の車については、「形状やタイヤのサイズなど、多くの点で昨季とは大きく異なります。ドライビングに関しては、新しいタイヤが最大の違いを生むと思います。これは、(昨年12月の)アブダビでのテストですでに気づいていたことです」と明かし、以下のように続けた。

「13インチから18インチへの変更により、高速コーナーでは、車ははるかにシャープでスッキリした感じになり、コーナーでの制御範囲が広がることを意味しますが、遅いコーナーでは、車の重量が増えたこともあり、少し遅くなります。F2で18インチタイヤを履いて走行したのを覚えていますが、今はその経験が役立つと思います」

 また、車の特性の変更がレースに及ぼす影響について、「前の車を追い抜きやすくなるかどうかを明確に把握するには、まだ時間が必要です。合同テストで、他車の後ろについたことが何度かありました。気流の乱れがどれだけ減ったかは分かりませんが、高速で追いかける方がイージーに感じました。ただ、前に数台の車があるのと、スタート直後は車に囲まれるのとでは状況が違うので、それを知るのには、時間が必要です」と、慎重さを示している。

「大きな問題ではないものの、合同テストではバウンシングの問題もありましたが、この影響を減らすために何をしなければならないかをチームは承知しており、現在の状況には満足しています」とポジティブに現状を捉えるも、一方で「車には大いに可能性があると思いますが、たった6日間のテストでは、自分たちがどの位置にいるのかを知ることは難しいです」とも語る角田は、最後に開幕戦に向けて改めて意気込みを語った。

「我々は、バーレーンで何が起こるかを知るでしょう。我々は、自分たちの仕事に集中しなければなりません。僕は体調が良く、常に落ち着いており、できるだけ早くコースに慣れる方法も知っています。昨季はここでのデビュー戦を9位で終えることができました。このコースでは、3日間良いテストができたので、レースでは何ができるかワクワクしています」

構成●THE DIGEST編集部

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