北京五輪フィギュアスケートの女子シングルでウクライナ代表として出場したアナスタシア・シャボトワが同国代表から除名され、物議を醸した。

　事の発端は、シャボトワが男子シングルの元五輪王者で、ウクライナ侵攻を続けるロシアのウラジミール・プーチン大統領を支持することで知られるエフゲニー・プルシェンコ氏のSNSの投稿に「いいね！」を押したことだった。

　モスクワで生まれ育つも、2019年に母の母国であるウクライナに国籍を変更して競技を続けていたシャポトワ。そんな16歳は、「僕は我が国と国民を心底誇りに思っているし、僕にはロシア人としての誇りがある」とプルシェンコが話す動画に反応したのだ。

　画面をタップするだけで印が付くが故に誤作動とも考えられるが、日増しに犠牲者が出るウクライナからすれば、到底受け入れられる「いいね」ではなかった。これを受け、同国のフィギュアスケート連盟は彼女を代表から外すと決めたのだ。
  　一連のニュースはあっという間に各国に広まった。そしてプルシェンコ氏の耳にも入ったようで、「こんなことが起きていたとは知らなかった。でも彼女をロシア代表として引き取れるのは嬉しい。お待ちしてます。アナスタシヤを僕らのチームに取る準備はできてるか？いつでも出来てるよ」と、ロシアの日刊紙『Sport Express』が伝える。

　続けて元世界王者は、「ダブルスタンダードな世の中では、誰かが何かをできる一方、誰かは何もできない。ロシアは全く何もさせてもらえない。自分の権利を守ることすら出来ない」と不満を口にしたうえで、「弱い国では決してない。大統領のとった方針は正しい。皆が団結して祖国を守るために立ち向かわねばならない」と語った。

　16歳のウクライナ人スケーターは、プルシェンコ氏を頼るのか。彼女の選択には世界が注目する。

構成●THE DIGEST編集部

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