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「戦車を見て銃声を聞いた」ウクライナ選手が母国への想いを胸に演技!「世界中の人に理解してもらいたい」【フィギュア世界選手権】

THE DIGEST編集部

2022.03.26

氷上のダンスで世界へ向けてメッセージを送ったウクライナペア。演技後にはその想いを明かしている。(C)Getty Images

氷上のダンスで世界へ向けてメッセージを送ったウクライナペア。演技後にはその想いを明かしている。(C)Getty Images

 フランスのモンペリエで開催されているフィギュアスケートの世界選手権。ロシアによる侵攻が進むなか、ウクライナ選手たちは並々ならぬ想いで臨んでいるようだ。

 現地時間3月25日に実施されたアイスダンスのリズムダンス(RD)では同国代表のアレクサンドラ・ナザロワ/マキシム・ニキーチン組が戦火に見舞われる故郷に思いを馳せる新曲を披露し、67.70点で16位に入った。

 激戦地のひとつハリコフ出身の2人は氷上のダンスで世界へとメッセージを届けた。米専門誌『IFS Magazine』によれば、演技後ナザロワは「戦車を見たし、銃声も聞いた。家にはもう窓がない。子どもを抱いて避難先へ走るのは凄く恐ろしい。誰にもそんな目にあってほしくない」と悲惨な体験談を伝える。

 600キロの距離を8日かけて移動したナザロワは、「多くの人が逃げているため、その分時間がかかった。マキシムよりも先に出発しました。私はスケート靴を持っていけなかったけど、彼が持ってきてくれた」と困難ぶりを明かし、今回のパフォーマンスをこう語った。

「それは夢だった。感情を込めて綺麗な演技をしたかった。ウクライナで今何が起きているのかを世界へ伝えることは、とても大切です。もちろん大会ではありますが、私たちにとっては単なる大会ではなかった」
 
 続けて「何が本当に起こっているのか世界中の人に理解してもらうことができればと思う。私たちは、ロシア軍が何をしているのか、どのように行なっているかを知ればうんざりする。ほんの6日前、私はハリコフにいました。家族全員はまだウクライナにいます」と表情を曇らせながら話す。

 ペアを組むニキーチンは「1か月や1日前には誰かが国を攻撃してくるなんて信じられなかった。今はウクライナだけでなく、世界全体が大変な時だ。ロシアの侵略は他の国にも及ぶ可能性もあるので、今、安全なところにいるすべての人に注意するようにと言いたい」と喚起した。

 フリーダンス(FD)に進めた同ペアだが練習時間が足りなかったため、現地時間26日の演技は棄権している。

構成●THE DIGEST編集部

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