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トランスジェンダー競泳選手を巡り波紋拡大!元陸上五輪銀メダリストは憤慨「不当なアドバンテージが生じる」

THE DIGEST編集部

2022.03.27

オサリバン氏(左)がトランスジェンダー選手であるトーマスが女性部門で競うことに異議を唱えた。(C)Getty Images

オサリバン氏(左)がトランスジェンダー選手であるトーマスが女性部門で競うことに異議を唱えた。(C)Getty Images

 米国のトランスジェンダー競泳選手を巡り、世界中で議論が巻き起こっている。

 その存在がクローズアップされているのは、アメリカのペンシルベニア大学に通うリア・トーマスだ。元々男性スイマーとして競技を行なっていた23歳だが、1年以上にわたるホルモン治療を経て、昨秋に女性として競技に復帰した。
【動画】歴史的な全米制覇。リア・トーマスが東京五輪メダリストを破った会心のレースをチェック

 彼が女性の部門で大学記録を樹立すると、さまざまな物議を醸してきた。そして今月17日に行なわれた全米大学選手権で、なんと東京五輪のメダリストらが揃った女子500ヤード(約457メートル)自由形でタイトルを獲得。これによって問題が再熱した。

 トレーニングの成果を遺憾なく発揮し、掴み取った栄光ではある。だが、根本的な筋肉量の違いもあり、当初から女性として戦う選手や関係者らを中心にトーマスの勝利を快く受け止められない人が多いのも事実だ。そのなかのひとりが、2000年のシドニー五輪の陸上女子5000メートルで銀メダルを獲得したアイルランドのソニア・オサリバン氏だ。レジェンドは、地元ラジオ局『Today FM』で「男性から女性になった場合、生物学的な女性と競争することが許されるのでしょうか?」と疑問を投げかけた。
 トランスジェンダー選手の女性部門での争いに否定的な姿勢を取る元五輪メダリストは、「科学的な裏付けを考えれば、そんなことは許されない」と問題視。そして「間違いなく不当なアドバンテージが生じる。テストステロンのレベルを下げるためにホルモンを摂取していますが、それは1つの要素に過ぎない」と持論を展開した。

「女性と比べて男性は、より強くなる要因がたくさんあります。女性とは能力のレベルが違うので競争はできない」

 そして52歳の元ランナーは、「スポーツにおいて男性と女性に分けているのに、生涯にわたって競技やトレーニングを続けてきた女性たちのことを考えずにそのバランスを崩すことを認めるのは理に叶わない」と憤慨した。

 同意見を受け、「オンライン上で賛否両論が巻き起こっている」と同国のタブロイド紙『Sunday World』は伝える。3分の1程度の人はこれに反対し、「データ、リサーチ、オープンなディスカッションは重要だが、一律に差別するのは答えにならない」という意見や、「トランスアスリートを対処すべき危険な問題と考えを押し続けるのは、信じられないほど残念なことです」と訴える。

 多様性が謳われる今日。果たしてトーマスは、今後どの部門で戦うことになるだろうか……。

構成●THE DIGEST編集部
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