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バレーボール

眞鍋監督が東京五輪で涙の古賀紗理那を新主将に選んだ理由は? バレーボール女子日本代表メンバー発表で見えた“戦略”

北野正樹

2022.04.01

パリ五輪の予選まで時間がない中で、バレーボール女子日本代表の立て直しを図る眞鍋監督。※写真はJVA提供

パリ五輪の予選まで時間がない中で、バレーボール女子日本代表の立て直しを図る眞鍋監督。※写真はJVA提供

 3月31日、日本バレーボール協会(JVA)は、今年度の日本代表女子登録選手39人を発表。今年9月に行なわれる世界選手権(オランダなど)とアジア大会(中国)の日程が重なり、2チームを編成するため選出となった。2024年パリ五輪に向けた予選は来年に迫っており、早急にメンバーを固定し国際大会で経験を積むことが求められる。

 オンラインでの記者会見に臨んだ眞鍋政義監督は「5年ぶりの復帰だが、五輪予選まで1年半という経験をしたことのない短いスパンで強化をしなければならない。ワクワクしながらも緊張感があり、身の引き締まる思い」と述べ、五輪出場権獲得に向け「オールジャパン体制で一致団結し、難局を乗り越えたい」と決意を語った。

 メンバー39人のうち初選出は20人。昨夏の東京五輪後に体調不良などでV1リーグに出場していない黒後愛(東レ)は選外になった一方で、主将は東京五輪で負傷して涙を呑んだ古賀紗理那(NEC)が務める。

 眞鍋監督は「就任時から、彼女しかいないと思っていた。五輪の初戦でケガをして(大会期間中に)復活し、素晴らしい数字を残した。主将は誰にでも務まるものではない。リオデジャネイロ五輪直前まで一緒にやり、五輪代表から外れた悔しい経験もしている」と起用の理由を説明した。

 さらにリオ五輪前に木村沙織を主将にしようとした際、海外挑戦中の彼女に面談し、返事をもらうまで約1か月かかったことを引き合いに出した指揮官は、「木村の時には1か月返事を待ったが、古賀はストレートに直接、話をした翌日には『頑張ります』と言ってくれた。その意味でもよかった」と冗談を交えながら、舞台裏も明かしている。

 チームの司令塔の育成が急務となっている日本代表。セッターには東京五輪代表の籾井あき(JT)ら7人が選ばれた。また、2012年ロンドン五輪でセッターとして28年ぶりの銅メダル獲得に貢献した竹下佳江が監督付戦略アドバイザーに就任すると決まった。

 竹下はV1のヴィクトリーナ姫路の球団副社長であり、眞鍋監督は代表監督就任直前まで、同球団のオーナーを務めていた。代表チームでも監督と選手として、長年ともに世界を相手に戦い、気心は知れた仲だ。それだけに眞鍋監督は「常時練習に参加することは出来ないが、彼女の鋭い観察眼でセッターを早く固定したい」と期待を寄せる。
 
 
 このほか、「『日本代表の緊急事態。協力してほしい』と頼んだ」(眞鍋監督談)とロンドン、リオ両五輪でもコーチを務めた川北元・デンソー監督ら当時のスタッフも招へいも発表。五輪予選までの限られた時間のなかで、最善の手を打ち、女子代表を立て直す。眞鍋監督の“戦略”も垣間見える陣容となった。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。

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