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格闘技・プロレス

もはやベルトはく奪は不可避!? 風当たりが強まるカシメロの処分で井上尚弥の“野望”はどうなる?「逃げた形だ」

THE DIGEST編集部

2022.04.24

バンタム級統一を目指すと公言している井上(左)。そんな彼の挑戦にもカシメロ(右)の処分は小さくない影響を及ぼしそうだ。(C)Getty Images

バンタム級統一を目指すと公言している井上(左)。そんな彼の挑戦にもカシメロ(右)の処分は小さくない影響を及ぼしそうだ。(C)Getty Images

 ボクシング界きっての“問題児”が窮地に立たされている。ボクシングのWBO世界バンタム級王者のジョン・リエル・カシメロ(フィリピン)だ。
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 現在33歳の猛者は自らの失態によって追い込まれた。今月22日(現地時間)に英国のリバプールでポール・バトラー(英国)との防衛戦に臨む予定だったカシメロだが、15日の入国後に、英国のボクシング管理委員会(BBBoC)が禁じている脱水症状のリスクが伴う過度な減量をしていたと判明。これが規定違反としてWBOから即座に試合出場不許可が通達されたのだ。

 自身のYouTubeチャンネル上に、サウナでの減量に励む様子を公開(※すでに削除済み)した彼らが同ルールを知っていたかは不透明ではある。しかし、昨年12月にも防衛戦直前に体調不良を訴え、土壇場で試合をキャンセルしていたカシメロだけに、今回は厳重な処分が下される可能性も浮上している。

 フィリピンでもカシメロへの風当たりは強まる一方だ。国内最大級のネットワークを誇る放送局『ABS CBN』のボクシング解説員を務めるエド・トレンティーノ氏は、「カシメロはあまりに多くのチャンスを失いすぎている。SNSとかではなくボクシングだけに専念すべきなんだ」と非難。今回の問題についても「ルールを知る適切なアドバイザーがいれば、起きなかったことだ」と切り込み、王座を失う可能性を指摘した。

「昨年12月の時点でWBOは、カシメロ陣営に後がないことを告げていた。その忠告内容を振り返れば、彼の運命は王者の称号を失うことにあると考えるのが妥当だ」

 仮にカシメロが王座から堕ちるとなれば、影響は日本が誇る“モンスター”にも及ぶ。バンタム級統一の野望を掲げるWBA・IBF世界王者の井上尚弥だ。

 すでに今年6月7日にさいたまスーパーアリーナで、WBC王者ノニト・ドネア(フィリピン)による3団体統一戦が決定している井上。その大一番で勝利すれば、次戦はWBO王者との対決が有力視されていた。

 しかし、カシメロからベルトがはく奪されれば、WBOは空位となる。そうなれば、相手は現地時間4月22日に行なわれた暫定王者決定戦で判定勝ちを収めたバトラーとなる可能性が高まる。だが、それも33歳のフィリピン戦士への処分が出なければ、不透明なままなのである。

 混沌としているバンタム級のベルト戦線について、フィリピン紙『The Manila Times』は、「もうカシメロはチャンスを失った」と銘打った記事内で、次のようにまとめている。

「世界バンタム級王者として3年目を迎えたカシメロだが、その間に大きな成果は全く上げていない。彼が防衛したのは2度だけで、相手はいずれもトップクラスの挑戦者やベルト保持者ではないのである。カシメロは20年のイノウエと、21年のドネアとの統一戦に加え、チャレンジャーであるバトラーとの防衛戦を2度、それぞれ彼自身の行動のせいで逃げた形となった。もはやWBOも彼にはうんざりしていることだろう」

 完全に「厄介者」のレッテルを貼られてしまった感が否めないカシメロ。はたして、WBOは彼に対していかなる判断を下すのか。その決定は井上のキャリアにも影響を与えるだけに、大いに注目を集めている。

構成●THE DIGEST編集部

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