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【父の日ウィーク】女子ゴルファー古江彩佳を育て上げたのは未経験の父!全面サポートで世界へと羽ばたいた親子の愛情物語

山西英希

2022.06.16

米ツアーを戦う古江。そんな彼女をこれまで支えてきたのは、お父さんだった。(C)Getty Images

 19歳だった19年の富士通レディースで史上7人目のアマチュア優勝を飾り、プロに転向。20-21シーズンは6勝を挙げ、賞金ランキング2位、メルセデスランキング1位となった古江彩佳。その勢いは止まらず、昨年12月に行なわれた米女子ツアーの最終予選会を7位で突破し、今季は米女子ツアーを主戦場として戦っている。

 シーズン当初はなかなか上位に入ることができなかったものの、5月25~29日に開催された『バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレー』では決勝戦まで進み、2位で大会を終えている。これで来季のシード権はほぼ確定しただけに、今後は余裕を持ってシーズンを戦うことができる。

 順風満帆なゴルフ人生を歩んできた古江。彼女がゴルフを始めた3歳のときから、ずっと指導してきたのは、父親である芳浩さんだった。娘に父親がゴルフを教える例は意外と多い。宮里藍や横峯さくら、藤田さいき、菊地絵理香、笠りつ子など、ツアーで優勝している選手が目白押しだ。ただ、その多くはゴルフ経験者であり、父親がゴルフをしていたから興味を持ったパターンがほとんどだった。ところが、古江の父親である芳浩さんはまったくのゴルフ未経験者だったという。

 それこそ、クラブの握り方すら知らなかったというから驚く。最初の頃は、基本的なことを教えるぐらいだったが、古江がどんどん実力をつけ、試合に出場するようになると、中途半端な知識では教え切れなくなる。ゴルフ雑誌やゴルフ番組などで情報を得ながらスイング理論を研究。古江がスイングに悩めば、その答えを探した。そのやり方が正しかったかどうかは、古江の戦績が証明しているだろう。小学生の頃からゴルフの大会で優勝を飾り、中学生では全国大会で優勝するほどの腕前に。高校に入るとナショナルチームにも選ばれた。
 
 芳浩さんが教えたのは技術だけではない。バーディを奪うゴルフよりもボギーを打たないゴルフの重要性を説いた。いくらバーディを奪っても同じ数だけボギーを叩けばスコアは縮まらない。たとえバーディが1つでも、ノーボギーならスコアは1つ縮まる。プロになってからも古江はボギーを打たないことを心がけていたからこそ、20-21シーズンのパーセーブ率は89・1%(2位)と高い数字をマークできたのだろう。

 また、昨年の序盤、古江は予選こそ通過するものの、なかなか上位に行けずに苦しんでいた。そんなとき、芳浩さんは古江のスイングを動画で撮影し、好調だった頃と見比べたという。「おかげで、オーバースイングになっていたところとか、手首のコックなど細かいところが全部おかしくなっていたことに気がつき、修正することができました」と古江が語っていたが、困ったときに相談するのは、やはり芳浩さんなのだ。
 
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幼い頃から古江を支える父!試合で使用するボールにも父の愛情がこもっている