バレーボール

大阪バレー協会理事の着服問題。日本協会・川合俊一会長が公表を指示、信頼回復に向け大ナタ「会見は私が勧めた」

北野正樹

2022.06.29

理事による着服問題の会見に臨むJVAの川合俊一会長(左はOVAの小比賀恵一会長)。写真:北野正樹

 大阪府バレーボール協会(OVA、小比賀恵一会長)は6月28日、大阪市内で記者会見を開き、会計担当理事が約2600万円を着服していたことを公表した。理事は6月に入って被害額を弁済したが、OVAは業務上横領罪で告訴を前向きに検討するとしている。

 会見に同席した日本バレーボール協会(JVA)の川合俊一会長は、「金額の大きさにびっくりした。日本協会も不祥事を重く受け止めている」と謝罪。OVAに対し記者会見を開き不祥事を公表するよう指導するとともに、OVAに「文書管理規程」がないなど正常な組織運営がされていなかったことから、再発防止に向け2024年3月までに公平性や透明性のある法人化に向けた組織改革を指示した。

 今回の不祥事は、OVAのずさんな組織運営が招いたものだ。
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 理事は2005年度から会計を担当。同席した公認会計士によると、判明しているだけで2014年から20年にかけ、計52回、OVAの通帳からカードで引き出し「インターネット上のチャットへの課金など遊興費に使った」(林義治OVA理事長)という。当初あった約4700万円の使途不明金のうち、公認会計士によると残る約2100万円の使途は判明し、国際大会の収益などをプールしている「基金勘定」からの流用はなかったという。

 理事は勤務先でも経理を担当したこともあり、巧妙な手口で会計処理を行ったことで不正を見抜くことは難しかったという。OVAには業務の執行や財産を監査する監事が3人いるが、「OVAに関係してきた人たちで、高度な専門知識はなく名誉職のような存在」(OVA理事経験者)といい、内部の人間による監査には限界があると言わざるを得ない。

 また、第三者委員会による調査は行う考えはなく、再発防止に向けて立ち上げた「改革プロジェクトチーム」のメンバー7人はOVAに関係する人物ばかりで、外部からの登用はないという。

 こうしたことから、川合会長が求めたのが「法人化」だ。これまでOVAは決算内容を公表してこなかったが、法人化することで法律に則り理事会などを開催し、事業報告や決算内容を公表することが求められる。情報開示をすることで外部からのチェックが入り、ガバナンスを確立することが出来るというわけだ。

 JVAは2011年に公益社団法人化し、都道府県協会など加盟団体に法人化を呼び掛けてきた。しかし、現在、47都道府県協会のうち一般社団法人化しているのは、公益財団の東京都を含め神奈川、石川、愛知、兵庫各県など11にとどまる。

 準備に3年をかけ昨年4月から一般社団法人化した愛知県協会の小懸徹男専務理事は「ガバナンスを高め、信用される組織であるためにも、法人化は必要」と話している。
 
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「お金を返したらいい、記者会見はしなくてもいいという関係者もいたが…」