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【札幌記念】タフなレースを制したジャックドールはポテンシャル開花か!? 5着に敗れたソダシはマイル戦で再起へ

THE DIGEST編集部

2022.08.22

札幌記念を制した3番人気のジャックドール。一気にポテンシャルを開花させた感がある。写真:産経新聞社

 史上初の"白毛馬対決"などで盛り上がった札幌記念(GⅡ、札幌・芝2000m)が8月21日(日)に行われ、単勝3番人気に推されたジャックドール(牡4歳/栗東・藤岡健一厩舎)が、逃げた2番人気のパンサラッサ(牡5歳/栗東・矢作芳人厩舎)をクビ差抑えて優勝。1番人気のソダシ(牝4歳/栗東・須貝尚介厩舎)は直線で伸びを欠いて5着に敗れた。

 スタートから隊列が決まるまでの駆け引きが非常に面白いレースだった。

【動画】ジャックドールがゴール前でクビ差で差し切り勝ち!札幌記念を制す
 ロケットスタートを決めたのはユニコーンライオン(牡6歳/栗東・矢作芳人厩舎)で、そのまま先頭に立つかと思いきや、「このところスタートダッシュが鈍くなっている」(吉田豊騎手)というパンサラッサが鞍上に促されながらインからするすると上がって先頭に立つ。その直後でウインマリリン(牝5歳/美浦・手塚貴久厩舎)が続くと、控えても競馬ができるジャックドールは4番手の好位置で折り合い、ソダシはそれを中団前目の5番手でレースを進めた。

 1000mの通過ラップは59秒6と、タフな馬場状態を考えても平均ペースと言えるもの。その流れなかで、悪い意味で目立ったのがソダシで、マイル戦を続けて使われていたこともあってか行きたがって、鞍上との折り合いを欠くシーンが見られた。

 そして迎えた直線。バテて圏外に去ったユニコーンライオンを交わしてパンサラッサが先頭に躍り出て、一目散にゴールを目指すが、それに待ったをかけたのがジャックドール。ゴール50mほど前でパンサラッサを捉えると、その差を守り切ってクビ差で勝利をものにした。

 3着にも終始3番手を進んだウインマリリンが粘り、先行勢が上位を占める結果となった。

 走破タイムが2分01秒2、上がり3ハロンが37秒7もかかるタフなレースとなり、前へ付けた馬に有利に働いたと言えるだろう。

 ジャックドールは、父モーリス、母ラヴァリーノ(父Unbridled's Song)という血統。昨春は日本ダービー(GⅠ、東京・芝2400m)を目指して出走したプリンシパルステークス(L、東京・芝2000m)で5着に敗れてクラシックを断念した。しかし、休養を経て仕切り直した9月の1勝クラスから5連勝で金鯱賞(GⅡ、中京・芝2000m)を制して一気にトップクラスに上っていった。

 GⅠ初挑戦となった大阪杯(阪神・芝2000m)は5着に敗れたが、それでも勝ったポタジェとは0秒5差に踏ん張って地力の高さを見せていた。

 最近は逃げ切りで勝利を挙げることが多かったが、本来はハナ(先頭)にこだわる馬ではなく、レース後のインタビューで藤岡佑介騎手が「(いい意味での)誤算だったのは、ジャックドールが思った以上にピタッと折り合ったこと」と語ったように、気性面での成長や操縦性の高さを身に着けたことで、秘めていたポテンシャルが一気に開花したのだろう。

 今後は天皇賞・秋(GⅠ、東京・芝2000m)が目標になるだろうが、有力馬の1頭に数えられることは間違いあるまい。
 
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ソダシ陣営は「これで(マイル戦が適距離であることが)はっきりした」