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【名馬列伝】ついに満場の祝福を受けたライスシャワー、しかし―― 最後の2走に刻まれた「勝利と死」のコントラスト<後編>

三好達彦

2022.07.26

天皇賞・春3連覇を目指したメジロマックイーン(右)を、ライスシャワー(中央)は最後の直線で一気にかわしGⅠ2勝目を挙げた。写真:産経新聞社

天皇賞・春3連覇を目指したメジロマックイーン(右)を、ライスシャワー(中央)は最後の直線で一気にかわしGⅠ2勝目を挙げた。写真:産経新聞社

 菊花賞でミホノブルボンを破り、待望のGⅠ制覇を成し遂げたライスシャワー。その後は有馬記念(GⅠ、中山・芝2500m)を8着として3歳のシーズンを終えた。

 翌93年、春の目標を天皇賞・春(GⅠ、京都・芝3200m)に据えたライスシャワーは、短い休養を経て、2月の目黒記念(GⅡ、東京・芝2500m)で始動。ハンデ戦であることから出走12頭中、もっとも重い59㎏の斤量を背負わされたが、途中から3番手へと押し上げて先行すると、終いもまずまずの伸びを見せて、斤量58㎏のマチカネタンホイザに2馬身半差の2着とした。レースを叩かれながら調子を上げて、最高潮の状態になると「気」で走るという傾向が分かってきた陣営にとって、これはシーズン初戦としては悪くない結果だと捉えた。

【動画】ライスシャワーがメジロマックイーンを鮮やかに差し切る! 93年天皇賞・春をチェック
 大一番の前、さらに気合を乗せたいという思惑もあり、陣営は3月の日経賞(GⅡ、中山・芝2500m)をステップレースに選ぶ。すると単勝オッズ1.8倍の1番人気に推されたライスシャワーは道中2番手から進み、最終コーナーで先頭に立つとぐいぐいと脚を伸ばし、2着に2馬身半の差を付けて快勝。最高の結果を残して、順調に“大一番”へ向けて駒を進めた。

 ライスシャワーの行く先には“現役最強馬”の誉れも高い、中長距離の絶対王者が待ち受けていた。GⅠレース3勝のメジロマックイーンがその馬である。

 3歳春のクラシックには縁がなかったが、夏になって遅咲きの実力が一気に開花。重賞初挑戦で菊花賞を制すると、ライバルのメジロライアン、ホワイトストーンとの争いと見られた1991年の天皇賞・春を圧勝。最強ステイヤーの座を確たるものとすると、トウカイテイオーとの初対決で空前の盛り上がりを見せた翌年にも優勝を果たし、史上初となる天皇賞・春の二連覇を達成し、コンビを組んでいる武豊の人気も手伝って、アイドル的な支持を集めるようになっていた。

 ただしメジロマックイーンも、その後は必ずしも順調とは言えなかった。92年の天皇賞・春を制したのち、宝塚記念(GⅡ、阪神・芝2200m)を目指す調教過程で骨折が判明。秋シーズンを全休し、約1年間を療養にあてることになった。

 それでも復帰戦の大阪杯(GⅡ、阪神・芝2000m)ではナイスネイチャに5馬身差を付けて楽勝。能力の衰えがないところを見せ、天皇賞・春3連覇という快挙に向けてファンの期待を煽った。
 
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