フィギュアスケートのシーズン到来を告げる国際大会「ジャパンオープン」が、10月8日さいたまスーパーアリーナで行なわれた。
【画像】宇野昌磨&坂本花織、男女の世界王者が揃ったジャパンオープンの熱戦をチェック
3年ぶりに今年は日本、北米、欧州の3地域に分かれ、アマチュアとプロの男女混合チームによる対抗戦が復活。各選手のフリースケーティングの合計得点をチームの総合得点とする団体戦形式で順位を決める。
日本は女子の紀平梨花が113.44点、坂本花織が146.66点。坂本が現世界女王の実力を見せる素晴らしい演技でトップに立ち、男子勢にバトンを渡した。
男子フリーは、2番滑走に17歳の三浦佳生が登場。盟友の鍵山優真が怪我で欠場したことにより、三浦は10月2日の東京選手権後に急遽大会への出場が決まった。曲はディズニーの名作『美女と野獣』。先述の大会では「最後までビースト(野獣)のまま、美女と踊っていた」とスタミナ不足を課題にしていたが、この日は違った。
4回転ループ、4回転トウループ、4回転サルコウと、前半の4回転ジャンプを全て回り切った三浦。後半唯一の4回転トウループは惜しくも2回転になったが、最後まで滑り切り、スタミナ切れの前回の課題を克服した。本人も小さくガッツポーズし『KAO MIURA』とプリントされた応援タオルが大きく揺れたスタンドのファンに笑顔で応えた。得点は169.94点で、非公認ながらフリーの自己ベストを7.24点超えた。
「チーム・ジャパンの皆さんに助けられた。今日はビースト8割、ビューティー(美女)2割で、ビースト成分が高めな演技でした」と会場を沸かせた。
5番滑走には、エース宇野昌磨が登場。前日の公式練習には「今年はルールもプログラムも変わる。練習で積んできたコンビネーション(ジャンプ)を試合という場所で自分がどうなるのかを、この大会で試したい」と、意気込みを語った宇野。コンビネーションを含んだ4回転ジャンプ4種類5本の構成で臨み、フリー新プログラム『G線上のアリア』を披露した。
冒頭の4回転ループ、そして2本目の4回転サルコウを難なく成功。1本目のGOE(出来栄え点)は『3.15』、2本目は『3.23』と高くついた。コンビネーションにする予定だった3本目の4回転トウループは単独になり、後半の4回転フリップは2回転になってしまったが、ラストのジャンプを4回転トウループ+2回転トウループにつけて挽回した。
「去年1年間は(フリーに)ボレロをやってきて体力がいきた演技構成だった。去年よりバテておらず、最後までスピードを持ってできた。ちゃんとルール変更も対応できた」と、冷静に演技を振り返った。質の高い演技内容で、得点は193.80点と高得点を叩き出した。
「シーズン初戦だったので、自分の今の位置付けを見れた大会だった。自分が苦戦しているコンビネーションジャンプで今回も跳ぶことはできなかったが、1シーズン通してこのプログラムを通していきたい」と、今季初戦を終えた世界王者は先を見据えた。
そして最終滑走には、宇野が「刺激を受けた」と語る今大会最大の注目株、イリア・マリニン(17)が登場。9月に人類初の4回転アクセル(4A)を着氷したアメリカの超新星だ。前日の公式練習には4回転ジャンプ6種類7本の超異次元構成を披露したが、この日は4回転ジャンプを4種類5本にとどめた。
注目の4回転1本目は「4A」。しっかり助走をつけて高く跳び上がったが、惜しくも着氷が乱れ手をついた。しかし、続く2本目の4回転トウループ、3本目の4回転ルッツは高さがあり、GOEはそれぞれ『2.85』と『2.30』。宇野が「(マリニンは)アクセルだけでなく、全てのジャンプのクオリティが高い」とコメントしたように、質の高いジャンプを次々と披露。4回転ルッツを含んだ後半のコンビネーションジャンプは回転不足が付いたが、それでも高難度の構成だった。得点は193.42点。宇野とは僅か0.38点差の2位だが、技術点では6.28点上回った。
大技成功はできなかったが、この日戦った宇野らライバルたちの目の前でクオリティの高い演技を発揮したマリニンは「自分のスケートには満足している。エレメンツも降りられたし、楽しく対戦できた。日本の選手たちもいい演技でしたね」と、会心の演技を連発したチーム日本を称賛した。
日本は宇野、三浦、坂本、紀平の4人が素晴らしい演技を披露し、総合623.84点。見事通算10度目のジャパンオープン優勝を飾った。2位は『チーム・北米』の537.27点、3位は『チーム・ヨーロッパ』の512.49点。
取材・文●湯川 泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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3年ぶりに今年は日本、北米、欧州の3地域に分かれ、アマチュアとプロの男女混合チームによる対抗戦が復活。各選手のフリースケーティングの合計得点をチームの総合得点とする団体戦形式で順位を決める。
日本は女子の紀平梨花が113.44点、坂本花織が146.66点。坂本が現世界女王の実力を見せる素晴らしい演技でトップに立ち、男子勢にバトンを渡した。
男子フリーは、2番滑走に17歳の三浦佳生が登場。盟友の鍵山優真が怪我で欠場したことにより、三浦は10月2日の東京選手権後に急遽大会への出場が決まった。曲はディズニーの名作『美女と野獣』。先述の大会では「最後までビースト(野獣)のまま、美女と踊っていた」とスタミナ不足を課題にしていたが、この日は違った。
4回転ループ、4回転トウループ、4回転サルコウと、前半の4回転ジャンプを全て回り切った三浦。後半唯一の4回転トウループは惜しくも2回転になったが、最後まで滑り切り、スタミナ切れの前回の課題を克服した。本人も小さくガッツポーズし『KAO MIURA』とプリントされた応援タオルが大きく揺れたスタンドのファンに笑顔で応えた。得点は169.94点で、非公認ながらフリーの自己ベストを7.24点超えた。
「チーム・ジャパンの皆さんに助けられた。今日はビースト8割、ビューティー(美女)2割で、ビースト成分が高めな演技でした」と会場を沸かせた。
5番滑走には、エース宇野昌磨が登場。前日の公式練習には「今年はルールもプログラムも変わる。練習で積んできたコンビネーション(ジャンプ)を試合という場所で自分がどうなるのかを、この大会で試したい」と、意気込みを語った宇野。コンビネーションを含んだ4回転ジャンプ4種類5本の構成で臨み、フリー新プログラム『G線上のアリア』を披露した。
冒頭の4回転ループ、そして2本目の4回転サルコウを難なく成功。1本目のGOE(出来栄え点)は『3.15』、2本目は『3.23』と高くついた。コンビネーションにする予定だった3本目の4回転トウループは単独になり、後半の4回転フリップは2回転になってしまったが、ラストのジャンプを4回転トウループ+2回転トウループにつけて挽回した。
「去年1年間は(フリーに)ボレロをやってきて体力がいきた演技構成だった。去年よりバテておらず、最後までスピードを持ってできた。ちゃんとルール変更も対応できた」と、冷静に演技を振り返った。質の高い演技内容で、得点は193.80点と高得点を叩き出した。
「シーズン初戦だったので、自分の今の位置付けを見れた大会だった。自分が苦戦しているコンビネーションジャンプで今回も跳ぶことはできなかったが、1シーズン通してこのプログラムを通していきたい」と、今季初戦を終えた世界王者は先を見据えた。
そして最終滑走には、宇野が「刺激を受けた」と語る今大会最大の注目株、イリア・マリニン(17)が登場。9月に人類初の4回転アクセル(4A)を着氷したアメリカの超新星だ。前日の公式練習には4回転ジャンプ6種類7本の超異次元構成を披露したが、この日は4回転ジャンプを4種類5本にとどめた。
注目の4回転1本目は「4A」。しっかり助走をつけて高く跳び上がったが、惜しくも着氷が乱れ手をついた。しかし、続く2本目の4回転トウループ、3本目の4回転ルッツは高さがあり、GOEはそれぞれ『2.85』と『2.30』。宇野が「(マリニンは)アクセルだけでなく、全てのジャンプのクオリティが高い」とコメントしたように、質の高いジャンプを次々と披露。4回転ルッツを含んだ後半のコンビネーションジャンプは回転不足が付いたが、それでも高難度の構成だった。得点は193.42点。宇野とは僅か0.38点差の2位だが、技術点では6.28点上回った。
大技成功はできなかったが、この日戦った宇野らライバルたちの目の前でクオリティの高い演技を発揮したマリニンは「自分のスケートには満足している。エレメンツも降りられたし、楽しく対戦できた。日本の選手たちもいい演技でしたね」と、会心の演技を連発したチーム日本を称賛した。
日本は宇野、三浦、坂本、紀平の4人が素晴らしい演技を披露し、総合623.84点。見事通算10度目のジャパンオープン優勝を飾った。2位は『チーム・北米』の537.27点、3位は『チーム・ヨーロッパ』の512.49点。
取材・文●湯川 泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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