ロシアの至宝に、いかなる処分が下されるのだろうか。
世界中に大きな波紋が広がったのは、11月14日。スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、WADA(世界アンチ・ドーピング防止機構)が北京オリンピックでドーピング疑惑が浮上した女子フィギュアスケーターのカミラ・ワリエワに『4年間の出場停止』『北京オリンピックでの団体金メダルはく奪(2021年12月25日を含む彼女が出場した大会を失格)』を求めたと発表した。
【北京五輪PHOTO】個人では涙の4位。ドーピング疑惑のカミラ・ワリエワの演技をプレイバック
WADAが発表したリリースはフィギュアスケート関係者だけでなく、世界が関心を示す、大きなトピックとなった。現在もロシア・フィギュアスケート界に大きな打撃を与えている同問題は、18日にWADAのオリビエ・ニグリ事務局長が、CASにワリエワ騒動の早期解決を下すように要請したと、ロイター通信など複数メディアが報じている。
ニグリ事務局長は「私たちは、この件を当初から綿密に追跡してきました。それは私たちの手に委ねられず、第一審ではロシア反ドーピング機関(RUSADA)によって決定することになっていた。だが、RUSADAに進展が見られなかったので、私たちWADAがCASに直接この事件を持ち込めるよう手段を選びました」と説明している。
今年2月の北京オリンピック。当時15歳のワリエワはロシア・オリンピック委員会(ROC)の代表として、フィギュアスケート団体戦に出場した。ショートで自身が持つ世界最高得点に迫る演技を披露し、フリーでも活躍。ROCの金メダル獲得に大きく貢献した。
しかし、直後に大会前の検査でドーピング陽性反応が発覚。検体は昨年12月時点のものだったために、大会出場は認められ個人戦にも出場した。若き逸材は金メダルが確実視されていたが、周囲や現地記者から「クスリはやったのか?」など容赦ない非難を浴びた。その影響か、フリーではミスを連発する不甲斐ない内容で4位に沈み、キスアンドクライでは暗い表情を見せ、得点が発表されると顔を覆い泣き崩れた。
そうしたなかで、RUSADAは発覚当時にワリエワが15歳(現在16歳)という「保護対象者」であったために「調査結果を公表しない」と声明を発表した。だが、この発表に納得のいかないWADAは同問題に終止符を打つべく今月14日、CASにワリエワの処分を求めた。
ニグリ事務局長は「現在はCASに委ねてありますが、多くの要因もあるため、現時点では予測ができません。しかし、私たちとしては、できるだけ早く解決できるように努力しますが、時間がかかる可能性があります」と述べている。
WADAの要請に対し、スポーツ弁護士のアンナ・アンツェリオビッチ氏は現地19日に、ロシア通信社『RIA Novosti』で「CAS がワリエワのドーピング事件の審議を早めるためには、事件のプロセス全て当事者の同意が必要になるだろう」と主張した。
アンツェリオビッチ氏は、「CASは全ての関係者の意見に耳を傾ける必要がある。しかし、迅速な手続きを開始するためには、全員の同意が必要です。WADA、RUSADA、そしてワリエワ自身です」と語る。
加えて同氏は、「問題は、どのような延長の要求も、CASが個別に検討することです。提供されない場合もありますし、提案された期間で付与されない場合もあります。だからCASはプロセスが無期限に延期されるのを防ぐことができる、そういう能力を組織は持っています」と早期解決に向けた具体案を提唱している。
16歳の天才少女に向けられた五輪ドーピング騒動。果たして、疑惑解決の糸口はいつ掴めるのだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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世界中に大きな波紋が広がったのは、11月14日。スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、WADA(世界アンチ・ドーピング防止機構)が北京オリンピックでドーピング疑惑が浮上した女子フィギュアスケーターのカミラ・ワリエワに『4年間の出場停止』『北京オリンピックでの団体金メダルはく奪(2021年12月25日を含む彼女が出場した大会を失格)』を求めたと発表した。
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WADAが発表したリリースはフィギュアスケート関係者だけでなく、世界が関心を示す、大きなトピックとなった。現在もロシア・フィギュアスケート界に大きな打撃を与えている同問題は、18日にWADAのオリビエ・ニグリ事務局長が、CASにワリエワ騒動の早期解決を下すように要請したと、ロイター通信など複数メディアが報じている。
ニグリ事務局長は「私たちは、この件を当初から綿密に追跡してきました。それは私たちの手に委ねられず、第一審ではロシア反ドーピング機関(RUSADA)によって決定することになっていた。だが、RUSADAに進展が見られなかったので、私たちWADAがCASに直接この事件を持ち込めるよう手段を選びました」と説明している。
今年2月の北京オリンピック。当時15歳のワリエワはロシア・オリンピック委員会(ROC)の代表として、フィギュアスケート団体戦に出場した。ショートで自身が持つ世界最高得点に迫る演技を披露し、フリーでも活躍。ROCの金メダル獲得に大きく貢献した。
しかし、直後に大会前の検査でドーピング陽性反応が発覚。検体は昨年12月時点のものだったために、大会出場は認められ個人戦にも出場した。若き逸材は金メダルが確実視されていたが、周囲や現地記者から「クスリはやったのか?」など容赦ない非難を浴びた。その影響か、フリーではミスを連発する不甲斐ない内容で4位に沈み、キスアンドクライでは暗い表情を見せ、得点が発表されると顔を覆い泣き崩れた。
そうしたなかで、RUSADAは発覚当時にワリエワが15歳(現在16歳)という「保護対象者」であったために「調査結果を公表しない」と声明を発表した。だが、この発表に納得のいかないWADAは同問題に終止符を打つべく今月14日、CASにワリエワの処分を求めた。
ニグリ事務局長は「現在はCASに委ねてありますが、多くの要因もあるため、現時点では予測ができません。しかし、私たちとしては、できるだけ早く解決できるように努力しますが、時間がかかる可能性があります」と述べている。
WADAの要請に対し、スポーツ弁護士のアンナ・アンツェリオビッチ氏は現地19日に、ロシア通信社『RIA Novosti』で「CAS がワリエワのドーピング事件の審議を早めるためには、事件のプロセス全て当事者の同意が必要になるだろう」と主張した。
アンツェリオビッチ氏は、「CASは全ての関係者の意見に耳を傾ける必要がある。しかし、迅速な手続きを開始するためには、全員の同意が必要です。WADA、RUSADA、そしてワリエワ自身です」と語る。
加えて同氏は、「問題は、どのような延長の要求も、CASが個別に検討することです。提供されない場合もありますし、提案された期間で付与されない場合もあります。だからCASはプロセスが無期限に延期されるのを防ぐことができる、そういう能力を組織は持っています」と早期解決に向けた具体案を提唱している。
16歳の天才少女に向けられた五輪ドーピング騒動。果たして、疑惑解決の糸口はいつ掴めるのだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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