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北京五輪でスーツ測定の「犠牲者」になった高梨沙羅。今季「測定方法」が変更も、いまだ不明瞭さも…

松原孝臣

2022.12.23

今年2月の北京五輪では個人4位、さらには混合団体で4位に終わった高梨。スーツ規定違反の失格時には泣き崩れた。(C)Getty Images

 北京オリンピックで涙に暮れた高梨沙羅は、今シーズンも競技の場に立ち続けている。しかし、檜舞台でのショックを乗り越え、今日を迎えるまでは簡単な道のりではなかった。

 あらためて北京を振り返りたい。

 世界一を目指し、また周囲からも大きな期待を寄せられるなか、高梨は自身3度目の大舞台に臨んだ。

 だが、願いはかなわなかった。ノーマルヒルでは4位と表彰台まであと一歩のところにとどまり、「頑張っても結果を残せなかったら意味がないので、私の頑張りは足りなかったんだと思います」と涙ながらに語った言葉には大きな失意があった。

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 その2日後、高梨は混合団体に臨んだ。男女各2名、計4名による団体戦だ。チームのためにも、と挽回を期したが、さらなる衝撃が待ち受けていた。1回目のジャンプののち、スーツの規定違反により失格とされたのだ。スーツの大きさは、女子の場合、あらゆる部分においてボディーのサイズのプラス2~3センチまでと定められている。高梨の場合、太ももが許容範囲より2センチ大きかったことから失格とされた。それを知らされて泣き崩れた高梨は、それでも2回目をしっかりと飛び、責任感の強さをあらためて思わせた。それでも最終的に日本は4位。失格で1本を失った影響が大きかったことは否めなかった。
 
 試合の翌日、高梨はSNSにこのように記した。

「謝ってもメダルは返ってくることはなく、責任が取れるとも思っておりませんが、今後の私の競技に関しては考える必要があります。それ程大変なことをしてしまった事深く反省しております」

 スーツの規定違反による失格は高梨だけでなく、他の有力国にも相次いだ。疲労や体調などさまざまな要因から、体のサイズは微妙に変わりやすい。同じスーツを着ていても、日によってボディーのサイズが変われば許容範囲から逸脱することもある。むろん、それに対応するために各チームはミシンを持ち込み、スーツのサイズを常に微調整できるようにしている。それくらい神経を払っている。
 
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今季スーツの測定の方法に変化があった