日の丸を背負うエースだからこそ、あえて苦言を呈したのだろうか。

　12月25日、日本スケート連盟は来年３月の世界フィギュアスケート選手権大会の代表派遣選手を発表した。男子は宇野昌磨、山本草太、友野一希。女子は坂本花織、三原舞依、渡辺倫果。ペアは“りくりゅう”こと、三浦璃来と木原龍一。アイスダンスは“かなだい”こと、村元哉中＆高橋大輔が選出された。

　同大会連覇を狙う坂本は「４年前は悔しい思いをした。ショートもフリーも揃えて満足できる結果に終わりたい。今年も連覇を目指してやりたいです」と答えた。初出場の渡辺は「世界選手権に選んで頂き嬉しい。全日本では悔しい思いをしたので、世界選手権で晴らしたい」と意欲を燃やした。

　昨シーズンの世界選手権銀メダリストで、今年のグランプリファイナルで日本ペア史上初の金メダルを獲得した“りくりゅう”は「今回の世界選手権でピークを持っていきたい。悔しい思いしかしていないので、来年は自分たちの演技がしたい」と思わぬアクシデントで全日本を欠場した悔しさをぶつける決意を示した。

“かなだい”こと、村元＆高橋は「前回の世界選手権はパーフェクトができなかった。トップ10を目指したいです。納得のいく演技を目指して頑張りたい」と二人で抱負を述べた。

　代表選出の喜びや意気込みを語る選手たちのなか、男子のエースだけは複雑な胸中を述べた。

「世界選手権に選ばれて、とても嬉しく思います。そうですね…僕が言うことではないですけど、この選考基準というのは、どういったものか分からないですけど、あまり嬉しく思える部分はないですけど…僕は頑張りたいです」

　言葉に詰まる場面もあった宇野。しかし、言わずにはいられなかった。記者からの質問に「これ以上は、僕から言うことではないと思います。今はコメントをしないでおこうと思います」とこれ以上の発言を控えた。
  　宇野が不満を示した要因の一つに、同じステファン・ランビエール氏に師事する“チーム・シャンペリー”のチームメイト島田高志郎が全日本２位ながら、世界選手権の代表から外れ、四大陸選手権の代表になった。他にもいくつか理由はあると思うが、宇野が選考基準に納得していないことは明白だった。

　男子3枠の世界選手権代表者は全日本選手権の優勝者がまず決定。次に全日本の2、3位。そしてグランプリファイナル上位2人、国際スケート連盟（ISU）の今季スコア上位3人の中から総合的に選考される。最後の1人は2人目から漏れた選手、世界ランク上位3人、今季の世界ランク上位3人などから選考される。

　4年ぶりの日本開催となる世界選手権は、来年3月20日～26日にさいたまスーパーアリーナで行なわれる。はたして、この選考の結果やいかに――。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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