格闘技・プロレス

中邑真輔、涙の撃破! 毒を食ってグレート・ムタとの熱戦を制す「ずっと殺してきたんですよ、こういう感情は――」

THE DIGEST編集部

2023.01.02

試合後はムタ(右)を称えた中邑。バックステージでは自身の“アイドル”への想いを語った。(C)NOAH

 1月1日、プロレスリング・ノアは『NOAH "THE NEW YEAR"2023』東京・日本武道館大会を開催。ダブルメインイベントの2戦目では、今月22日に神奈川・横浜アリーナ大会でラストマッチを行なうグレート・ムタと、アメリカのプロレス団体『WWE』に所属するスーパースターの中邑真輔による新旧日本のスーパースター対決が実現した。
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 ムタと中邑は同じ新日本プロレス出身という共通点はあるが、WWEが他団体に選手を派遣するのは異例。それだけに日本武道館のチケットは完売し、会場には多くのファンがつめかけた。

 和太鼓とヴァイオリンの生演奏にWWEで使用しているテーマ曲『The Rising Sun』とともに、白装束のガウンで現れた中邑が登場。ゆっくり噛み締めるように入場すると、舞踏感もドッと沸く。後に入場してきたムタと対峙したアメリカ帰りのスターは、さっとガウンを脱ぎ捨てると黒と赤のマーブルカラーのコスチュームを披露。恐らくムタのカラーを意識したのだろう。これにもファンから歓声が上がった。

 戦前から熱気に包まれたた試合は、序盤に中邑が赤い毒霧で迎撃されて場外戦に発展すると、ここからムタが得意のラフ殺法を繰り出していく展開になる。

 リング下からイスを引っ張り出してきたムタは中邑に容赦なく攻撃を仕掛ける。レフェリーも突き飛ばしたムタはリングに戻っても相手のコスチュームを引き裂くなどやりたい放題。

 しかし、ムタのイス攻撃をナックルパートで迎撃した中邑はスリーパーホールド。さらに相手の十八番だった花道疾走ラリアットも放って、傾きかけた流れを引き戻す。
 
 その後は一進一退の攻防が続いたなかで、ムタが閃光魔術を前後から連発するが、3発目に得意のキンシャサで合わせた中邑は、起死回生の毒霧を狙うムタの顔を鷲掴みにすると、なんとキスをして口移し。そしてすかさず逆毒霧を噴射したのだ。

 予期せぬ出来事に動揺を隠せないムタ。これを見逃さなかった中邑はすかさず、渾身のキンシャサを炸裂させてカウント3を奪取。見事に武道館を沸かせた熱戦を制している。

 試合後、花道から一人帰っていくムタに向かって中邑は「奇跡を……、奇跡をありがとう。Bye bye My Idol ムタ!イヤァオ!」と叫ぶと、レジェンドのもとに駆けつけて、肩を組みステージでポーズを決めてみせた。

 目を潤ませながらバックステージに登場した中邑は「汚い顔ですね。マジで本当に…こんな奇跡、神様じゃないと仕組めないでしょうよ。言葉を出せば出すだけ自分自身の感動が薄れていってしまうような感じが。もう試合前から…ずっと殺してきたんですよ、こういう感情は」と言葉を詰まらせながら、胸中に去来する本音を率直に打ち明けた。

「プロとして、それをこういった奇跡のタイミングでね。元日の日本武道館、相手はザ・グレート・ムタ、最高の入場……。たまんないっすね、マジで。奇跡をありがとうございました」
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「(武藤敬司に)比べりゃまだハナタレ小僧ですから僕は」