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「ロシアじゃ成功は難しかったな」“4回転の神”マリニンの祖父が指摘した米露における育成環境の違い「アメリカ人は試合前にガムを…」

THE DIGEST編集部

2023.02.11

“4回転の神”と謳われるマリニン。3月の世界選手権でのハイパフォーマンスに期待だ。(C)Getty Images

“4回転の神”と謳われるマリニン。3月の世界選手権でのハイパフォーマンスに期待だ。(C)Getty Images

 1月に行なわれたフィギュアスケートの全米選手権で見事優勝を果たしたイリヤ・マリニン。人類史上初めて4回転アクセルを成功させた18歳は、いまや“4回転の神”と謳われるほどの若きライジングスターだ。

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 もともとロシアにルーツを持つマリニン。両親も元フィギュアスケーターで、母のタチアナ・マリニナさんはウズベキスタン代表として長野五輪に出場して8位入賞を果たし、四大陸選手権やグランプリファイナルでも優勝経験がある実力者だった。その母を指導したのが、イリヤにとっての祖父であるヴァレリ・マリニン氏だ。彼もまた旧ソ連時代のフィギュアスケーターで、マリニン一族は言わば親子三代に渡るサラブレッド家系なのである。イリヤは両親が移住したアメリカ東海岸で生まれ、英才教育を受けてきた。

 今回、ヴァレリ氏がロシアのスポーツメディア『Sport24』のインタビューに応じ、アメリカとロシアの育成環境における違いなどを明かした。そのなかで「もし両親がイリヤをロシアで指導していたら、彼はトップに上り詰められただろうか?」と問われ、次のように答えている。

「正直に言って、ロシアじゃ無理だっただろう。成功を収めるのは難しかったと思うよ。まずロシアで最初に代表チームに入るのに、頭3つ分身長が足りなかったはずだ。それに、モスクワかサンクトペテルブルクを拠点にしてなきゃいけないなど制約も少なくない。とても環境が限定されていて、競争相手もものすごく多かっただろうからね」

 さらにヴァレリ氏は、試合前に臨む両国選手の違いを分かりやすく説明した。

「ロシアの選手は演技前に、自分自身に向けて十字を切るだろう。アメリカの選手はどうか。ただチューイングガムを噛んでいるだけさ。とにかくリラックスして集中している。育ちの違いだよ。ロシア人はもっと熱情的だ。私の現役時代なんて練習や大会でミスをしたら、コーチに汚い言葉で激しく罵られたもので、常に心理的な重圧が尋常じゃなかった。そこから生まれるタフネスは確実にあるし、現在もロシアのアスリートの強みでもあるだろう。だが、イリヤには適していなかったと思う。もう時代は変わったんだ」
 
 一時はサッカーに熱中したイリヤ。フィギュアスケートから引退する可能性もあったと祖父は振り返る。

「サッカーもそうだけど、体操競技など何をやってもイリヤは優秀だった。そのなかでサッカーに没頭して、スケートを指導していた母親はもう諦めかけたりもしたが、人生には岐路というものがあるからね。あのままサッカー選手になっていても私は応援したが、結果的にスケートを選んでくれて良かったよ」

 マリニンは3月に埼玉で開催される世界選手権(20~26日/さいたまスーパーアリーナ)にエントリーしている。日本のファンの前でも華麗な4回転アクセルを成功させるか。18歳のハイパフォーマンスに注目が集まる。

構成●THE DIGEST編集部

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