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ラグビー

「シンプルなことを、徹底しました」稲垣啓太が取材エリアで語った首位ワイルドナイツの“根本的な強さ”

向風見也

2023.03.14

首位を走るワイルドナイツのFW陣を牽引する稲垣。(C) Getty Images

首位を走るワイルドナイツのFW陣を牽引する稲垣。(C) Getty Images

 ワールド・ベースボール・クラシックの話題が列島を巻き込む2023年、新潟の元野球少年がラグビーの国際舞台を見据える。

 稲垣啓太。高校時代に足を踏み入れた楕円球界にあって、もっとも有名なアスリートのひとりとなった32歳だ。
 
 ワールドカップ・フランス大会を今秋に控え、2月上旬から日本代表の首脳陣と定期的に面談。目下開催中の国内シーズンを戦いながら、本番までの課題を再確認してゆく。

 タフなスケジュールにも涼しい顔だ。

「日本代表は、日本代表でプレーして結果を残したいから招集され、それを名誉だと思ってやっている。まして今年、ワールドカップがあるのなら、こういうスケジュールのなかで(代表活動が)あるのは当然だと思います」

 その落ち着きは、仕事ぶりにも現れる。

 3月11日、東京・秩父宮ラグビー場。埼玉パナソニックワイルドナイツの背番号1をつけ、加盟するリーグワン1部の第11節に先発した。

 昨季のプレーオフ決勝を戦った東京サントリーサンゴリアスとの大一番にあって、後半7分に退くまで激しく、正確に、淡々と戦った。

 前半10分、自陣22メートル線付近中央でボールをもらって力強く前に出る。ラックを作る。味方がその前方へ攻め込むや、稲垣はすぐに起き上がってサポートに入る。相手のタックラーを押さえつけるようにし、ペナルティーキックを獲得する。

 守ってはチーム3位タイとなる10本のタックルを放った。相手の突進を正面から防いだ前半3分の1本、一連の流れで2発のハードヒットを繰り出した前半17分頃の動きが、渋く光った。

 スクラムで最前列へ入る左プロップながら、ボールがない場所で身軽に動くのも特徴的だった。

 常に前を見て、相手の攻めそうな場所へ身長186センチ、体重116キロの身体を移動させる。周りに合図を送り、危機を未然に防ぐ。

 果たしてワイルドナイツは、41―29で開幕11連勝を飾った。

 サンゴリアスは前半こそ中央突破で勢いを作ったり、接点の周りに複層的な陣形を作ったりして大外にスペースを創出。14点を先行した。

 しかし時間を追うごとに、ワイルドナイツは自慢の防御を蘇生させた。

 その流れを稲垣は、試合後の取材エリアで丹念に振り返っていた。
 
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