まず序盤は、ワイルドナイツの防御の位置取り、つまり「セットアップ」が「遅かった」ようだ。
「ディフェンスのセットアップが遅れ、人数が揃わないと、より相手に優位な状況でアタックをさせてしまう。そういったことが前半、多かった。しかし後半は、ファーストフェーズ(最初の接点)で相手の勢いを消す(のを意識)。これでディフェンス(のセットアップ)が速く整備できます。そしてラインを上げられる…」
言葉通りのプレーは、ハーフタイム明け早々に見られた。
中盤のラインアウトからのサンゴリアスの「ファーストフェーズ」に対し、ワイルドナイツのラクラン・ボーシェ、ダミアン・デアレンデがタックルを繰り出す。2人で1人の走者を掴み上げ、まもなくワイルドナイツが攻撃権を獲得した。
17―24と7点差を追う後半15分には、やはりデアレンデがベン・ガンターとサンゴリアスのランナーを仕留める。流れを止める。その間、周りのワイルドナイツの戦士は「ディフェンスを速く整備」した。
その列に入っていたディラン・ライリーが、サンゴリアスの大外へのパスをインターセプト。そのままトライを決めるなどし、24―24と同点に追いついた。
以後はガス欠気味となったサンゴリアスの穴を突き、着実に加点。同33分までに41―24と大差をつけた。
稲垣は言った。
「最初の段階でポジショニングに入れていれば、あとは個人のスキルと判断(次第となる)。さらに、その判断も、いい時間帯が多かった。それが結果として、勝敗に繋がったかなと思います。シンプルなことを、徹底しました」
有事においても自分たちにとっての基礎、基本に立ち返る。稲垣の、さらにはワイルドナイツの真骨頂が垣間見える。
「大きな問題がある時は、色々なところに手を伸ばしがちなんです。あれもやらなきゃ、これも失敗した、ここも課題だ…と。しかし大事なのは、いまチームが何を真っ先に改善しなければいけないのか(を把握する)ということ。それと、(立ち返る)土台というものが、ワイルドナイツにはある。そこに戻れば、また自分たちのテンポを作ることができる。そういう自信がある。そう思っているのは、僕だけではないです。それが自分たちの、根本的な強さです」
自分たちがなぜ勝っているのかを理解する。その皮膚感覚は、プレーする場所が日本代表になっても損なわれないだろう。稲垣は続けた。
「環境が変われば、人も変わります。そこに対応するのは重要です。ただ、自分のなかで変えてはいけない部分、チームとして変えてはいけない部分。それはちゃんと、共有しておいた方がいいと思いますね」
団体競技の本質を掴み取っている。
取材・文●向風見也
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「ディフェンスのセットアップが遅れ、人数が揃わないと、より相手に優位な状況でアタックをさせてしまう。そういったことが前半、多かった。しかし後半は、ファーストフェーズ(最初の接点)で相手の勢いを消す(のを意識)。これでディフェンス(のセットアップ)が速く整備できます。そしてラインを上げられる…」
言葉通りのプレーは、ハーフタイム明け早々に見られた。
中盤のラインアウトからのサンゴリアスの「ファーストフェーズ」に対し、ワイルドナイツのラクラン・ボーシェ、ダミアン・デアレンデがタックルを繰り出す。2人で1人の走者を掴み上げ、まもなくワイルドナイツが攻撃権を獲得した。
17―24と7点差を追う後半15分には、やはりデアレンデがベン・ガンターとサンゴリアスのランナーを仕留める。流れを止める。その間、周りのワイルドナイツの戦士は「ディフェンスを速く整備」した。
その列に入っていたディラン・ライリーが、サンゴリアスの大外へのパスをインターセプト。そのままトライを決めるなどし、24―24と同点に追いついた。
以後はガス欠気味となったサンゴリアスの穴を突き、着実に加点。同33分までに41―24と大差をつけた。
稲垣は言った。
「最初の段階でポジショニングに入れていれば、あとは個人のスキルと判断(次第となる)。さらに、その判断も、いい時間帯が多かった。それが結果として、勝敗に繋がったかなと思います。シンプルなことを、徹底しました」
有事においても自分たちにとっての基礎、基本に立ち返る。稲垣の、さらにはワイルドナイツの真骨頂が垣間見える。
「大きな問題がある時は、色々なところに手を伸ばしがちなんです。あれもやらなきゃ、これも失敗した、ここも課題だ…と。しかし大事なのは、いまチームが何を真っ先に改善しなければいけないのか(を把握する)ということ。それと、(立ち返る)土台というものが、ワイルドナイツにはある。そこに戻れば、また自分たちのテンポを作ることができる。そういう自信がある。そう思っているのは、僕だけではないです。それが自分たちの、根本的な強さです」
自分たちがなぜ勝っているのかを理解する。その皮膚感覚は、プレーする場所が日本代表になっても損なわれないだろう。稲垣は続けた。
「環境が変われば、人も変わります。そこに対応するのは重要です。ただ、自分のなかで変えてはいけない部分、チームとして変えてはいけない部分。それはちゃんと、共有しておいた方がいいと思いますね」
団体競技の本質を掴み取っている。
取材・文●向風見也
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