バレーボール

理事が着服の大阪府バレー協会の会長らが、役員改選で続投へ「責任問題より組織の継続性」を優先

北野正樹

2023.03.16

大阪バレー協会の小比賀氏。会長に再選される見込みだ。写真:北野正樹

 会計担当理事が協会資金2579万円を着服していた大阪府バレーボール協会(OVA、小比賀恵一会長)が、新年度からの役員改選で次期会長に小比賀会長が続投し、林義治理事長は副会長に昇格する人事案をまとめ、16日の理事会に諮ることがOVA関係者の話でわかった。日本バレーボール協会(JVA)は、今回の不祥事を受け、OVAに組織刷新を指導するとともに、全国の都道府県協会に透明性のある競技団体に向け、2024年度からの法人化を求めている。

 OVAの現役員の任期は1期2年で、23年3月末まで。法人化される24年度からは規約が変更されるため、任期は1年となる。
 
 今回の人事案をまとめたのは、役員を選考する「企画調整委員会」。これまでは会長もメンバーに入っていたが、今回の不祥事を受け、若手と呼ばれる各連盟の副理事長クラスの数人で人選を進めてきた。

 関係者によると、今月6日に小比賀会長や副会長、林理事長らが出席した「会長・副会長会議」(13人)で、同委が法人化に向け現在の12人の副会長(執行副会長を含む)を3人に、約80人の理事を30人程度にスリム化して組織改革を行う中で、会長を続投させ、理事長を副会長に昇格させるなどの人事案を報告した。

 同委は2人の続投について「(JVAが求める)法人化に向け、組織の継続性が必要と判断した」と説明したという。後任の理事長には、同委の委員長を候補に挙げた。

 出席者から「不祥事の責任を問われる会長らの続投は、社会的に理解を得られない。会長らの管理監督責任は審議しなかったのか」との意見も出たが、同委は「会長らの責任問題は、(OVA内に設置された)責任問題検討委員会が行っており、役員選考過程では考慮しなかった」と、役員適格性の判断に不祥事の責任問題を含めなかったと説明。

 一部の出席者から「組織の継続性は必要だが、責任問題も大事」と、任期が切れるまでに総辞職する案が提案され、会長、副会長、理事長が16日の理事会までに辞任する形を採ることになった。

 一方、責任問題検討委は「(正副会長、理事長ら)全員に責任がある。誰に責任があるのかは追及しない。」として、不祥事の責任の所在を明らかにしない方針を示したという。
 関係者によると、協会資金を着服し、スーパーチャットに課金などをしていた会計担当理事は昨年8月23日、大阪府警に業務上横領罪で告訴されたが、まだ理事職にある。

取材・文●北野正樹

【著者プロフィール】
きたの・まさき/2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。関西運動記者クラブ会友。
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