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格闘技・プロレス

那須川天心のボクシング初陣を世界はどう見た? 英メディアは“別人”ぶりに感嘆「メイウェザーに泣かされた青年ではない」

THE DIGEST編集部

2023.04.09

半年間の本格的なトレーニングを経て、ボクサーとしてプロの舞台に立った那須川。キックボクシング界で「神童」と呼ばれた男の新たな伝説が始まった。写真:山口フィニート裕朗/アフロ

半年間の本格的なトレーニングを経て、ボクサーとしてプロの舞台に立った那須川。キックボクシング界で「神童」と呼ばれた男の新たな伝説が始まった。写真:山口フィニート裕朗/アフロ

 新たな伝説が始まった

 4月8日、有明アリーナにて開催された『PRIME VIDEO PRESENTS LIVE BOXING 4』で、21年4月にプロボクサーに転向を発表した那須川天心(帝拳)が、日本バンタム級4位の与那覇勇気(真正)とのスーパーバンタム級6回戦で判定勝ちを収めた。

 ボクシングにステージを映しても“神童”の存在感は絶大だった。日本でトップクラスのランカーである与那覇に対して、終始動じずに冷静に攻め続けた那須川は、2回にランスを崩した相手に右フックを合わせてダウンを奪取。これで勢いに乗った。3回には鋭いパンチで相手の右目上を切り裂き、キックボクシング時代に未経験だった4回には左カウンターを皮切りに16連打の猛ラッシュを展開。常に見せ場を作った。

 自慢のスピードと独特のステップワークを取り入れたトリッキーな動きで、相手に的を絞らせなかった那須川。試合前に「新人なんで狙います」と公言していたKOこそできなかったが、フルマークの判定結果(59-55、60-53、60-53)が物語るように、内容では与那覇を圧倒した。

 そんな24歳の新たなキャリアは、海外メディアも脚光を浴びている。英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』は「テンシン・ナスカワは屈辱の日を忘れさせるかのように圧倒的なパフォーマンスを披露。堂々とプロボクサーとしてデビューした」とレポートを掲載した。
 
 同メディアが「屈辱の日」と位置付けたのは、2018年の大晦日に行なわれた元ボクシング世界5階級王者フロイド・メイウェザー(アメリカ)とのエキシビションマッチだ。当時、若干二十歳だった那須川は、言わずと知れたレジェンドに手も足も出ずに180秒でのKO負け。試合後には人目をはばからずに悔し涙を流した。

 そこから4年が経ち、ボクサーとしてリングに立った那須川について『talk SPORT』は「かつてメイウェザーに残忍な形で打ちのめされたナスカワは、カメラの前で大粒の涙を流した。だが、日本のスターはこの屈辱から這い上がり、キックボクシングで敵なしのキャリアを築き、ついにはボクシングのリングに立った」と強調。そして、今回のデビュー戦を次のように振り返っている。

「メイウェザーに敗れて泣いていた20歳の青年の姿はそこにはなかった。全く別人のようになった彼は自信に満ち溢れ、圧倒的な存在感をリング上で示した。ナスカワは6ラウンド中、常に容赦なく相手を打ちのめし、顔面を血まみれにした後、判定勝ちを収めた。彼のプロボクシングにおける旅がどこまで続くかは不明だが、ここから先のキャリアに期待を抱かせる有望なスタートであることは間違いない」

 これ以上にないデビューを飾った那須川。試合後のリング上で「必ずボクシングでも世界を取ろうと思ってます」と言ってのけた男の物語への興味は尽きない。

構成●THE DIGEST編集部


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