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「ユヅはスケートの神」「ネイサンは僕にとって…」頂上対決を終えた羽生結弦とネイサン・チェン。試合後の会見で語ったことは?

THE DIGEST編集部

2019.12.07

まさしく頂上決戦という名にふさわしい競技を見せた羽生(左)とネイサン(右)。 (C) Getty Images

 イタリア・トリノで行なわれているフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルは最終日の7日を迎えた。

 同大会5度目の優勝を目指していた羽生結弦は、男子シングルのショートプログラム(SP)で2位スタート。フリープログラム『Origin』で4回転ジャンプを5本組み込むというかつてない演技構成で挑み、総合291・43点を獲得。しかし、首位のネイサン・チェンが224・94点、計335・30点という世界最高記録をたたき出したことで、逆転優勝はならなかった。

 3位にはフランスでは同大会13年ぶりのメダリストとなるケビン・エイモズが入り、3人のメダリストはそろって試合後の記者会見に臨んだ。

 SPから首位を守ったネイサンは、「ここにいられてとても嬉しい」と開口一番に告げ、このように語った。

「五輪での信じられないミスの後からGPシリーズでのミス、そしてここまで、うまくやってこれたと思う。今のプログラムは楽しいし、このGPファイナルという場でスケートができるのは、素晴らしく名誉なこと。それに、僕は何年もユヅをアイドルとして見てきた。でも彼は、スケートの神だと思う。…いいよね、ユヅ、お誕生日おめでとう」

 その様子を穏やかに見守った羽生は、自らが滑った『Orgin』についてこのように語っている。

「きっと、(オマージュしたトリノ五輪金メダリストのエフゲニー・)プルシェンコさんは、満足してくれていないと思います(笑)。ネイサンは、フィギュアスケートをより激しく、難しいものにしている。だからこそ僕は、彼と競技の大会で対戦できることがうれしい。スケートを続けるモチベーションを見失っていたけれど、今の彼は僕にとってスケートを続けるモチベーションです」
 
 そして、こうも続けた。

「時に、フィギュアスケートは競技スポーツなのか、そうじゃないのでは?と言われます。でもこれはれっきとした競技スポーツです。ネイサンのパフォーマンスも、ほかのみんなのパフォーマンスもそうです。

 去年、ジャンプで怪我をしたので、4回転ルッツを試すのは本当に怖かった。でも、練習を重ねて、最後に壁を乗り越えられたと思います」

 また、練習で挑戦していた4回転アクセルについては「4回転を5本も飛ぶなかでは疲れたから」と今回は挑戦を見送った様子。だが、飽くなき向上を目指す羽生であれば、新たに生まれた"モチベーション"のために、挑戦し続ける可能性はありそうだ。

構成●THE DIGEST編集部
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