モータースポーツ

開幕前の低評価を見事に覆した角田裕毅がモナコGPで節目の50戦目へ。予想以上の活躍の背景に“心技体”の充実

甘利隆

2023.05.26

開幕前の下馬評の低さを覆す活躍を見せている角田。さらなるポイント獲得に期待したい。(C) Getty Images

 F1キャリアを賭け、勝負の3年目を戦うアルファタウリの角田裕毅。

 シーズン前は、昨年ウィリアムズから代役で参戦したイタリアGPでいきなり9位に入賞したチームメイトのニック・デ・フリースの評判が良く、「後塵を拝するのでは?」という声も聞かれたが、名実ともにエースの名に相応しい走りを見せている。

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 獲得ポイント数こそまだ多くはないが、予想を上回る活躍の理由には、月並みな表現とはなるが、やはり"心技体"の充実が挙げられる。

 昨年半ば、レッドブルが雇ったメンタルトレーナーから指導を受けているという報道があったが、"心"と体"については、新たに迎えた3人の貢献が大きいようだ。

 まずひとりは2018年から2022年までダニエル・リカルドに帯同していたフィジオセラピストのマイケル・イタリアーノ。

「年々、体力は向上していると思う」と語る角田だが、レース後半になっても集中力を維持できるようにこのオフはさらなるトレーニングに励んだ。

「マイケルと初めてちゃんと会ったのは1月のドバイでのキャンプで、初日から仲良くなりました。キャンプ中はたくさん笑ったので、毎日腹筋が筋肉痛になった(笑)。トレーナーとはビジネス上の関係じゃなく、友人として付き合いたい。僕にとってはその関係が、レースウィークのメンタル面でも役に立つ」と話す。

 そして残るふたりは、かつてジャン・アレジや小林可夢偉のマネージャーとして辣腕を振るった宮川マリオ氏と中学高校時代からの友人でもある平松雄大氏。平松氏はこれまでもサポートしてきたマルチリンガルの中沢慧立氏とマネージメント会社を立ち上げた。

「マシンに乗っている時はレースに集中していますが、コース外ではそれ以外のことを少し考えてしまう……」と昨シーズンに漏らしていただけに、レースに集中するため、マネージメント体制を強化。イタリアーノ含めたメンバーが、5月11日に23歳を迎えた若武者を支える。

「ラジオボタンを押さずに叫んでしまうこともありますが、エンジニアに怒鳴っても意味はありません。彼らは僕のフィードバックを聞きたいだけ。今はクルマに何が起こっているのか、状況や戦略が完全に分かる」

 以前は無線で感情をぶつけることもあったが、精神の安定がチームとのコミュニケーションにも好影響を与えている。
 
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