元五輪金メダリストで女子棒高跳びの世界記録保持者であるエレーナ・イシンバエワさんが、母国ロシアでバッシングに晒されているようだ。
アテネ&北京五輪で連覇を果たし、世界陸上では3度の金メダルに輝き、世界記録を28回も更新した生ける伝説だ。現在41歳で、2016年の現役引退後はIOC(国際オリンピック委員会)で選手委員も務めている。
そんなイシンバエワさんに火の粉が降りかかったのは、スペイン・メディア『el digitalsur』の告発記事だった。「エレーナ・イシンバエワはロシア軍少佐の階級を持つ人物だ」と指摘し、そんな彼女がウクライナ侵攻を非難するスペインの地に滞在しているのはおかしいと、疑問視する論調を展開したのだ。
ロシアのメディアはすぐさま反応。最近のイシンバエワさんの私生活については情報が乏しかったため、『el digitalsur』が主張するスペイン滞在説はデマだと見る向きが強かった。
そんななか、イシンバエワさん本人が突如としてSNSで反論。インスタグラムの更新は、北京冬季五輪が開催中だった2022年2月以来、およそ1年半ぶりだ。
スペイン滞在に関してはいっさい触れず、弁明したのは「ロシア軍少佐」の箇所だった。自身の選手キャリアをざっと振り返ったのち、「ロシアではすべてのアスリートがスポーツクラブに所属します。私は2018年まで『CSKA』に所属していましたが、ロシア連邦の軍隊に仕えたことはありません。(少佐の)肩書きはただの名目上のもので、私の天職はあくまでスポーツです」と言い切った。
さらにIOCはまったく自身の立場を問題視していない点を強調し、「私は平和主義者です! 私に石を投げようとする人たちの良心も信じます。嫉妬は破壊的な感情であることを忘れないでください」と呼びかけ、「情報の内容をしっかり精査して、惑わされないようにしてほしい。時間の無駄遣いにならないように…」と続けた。
このメッセージに対して、ロシア・メディアは一斉に反発する。引っ掛かったのは「名目上」のフレーズだった。『Championat』は「ある意味、彼女は正しい。CSKAの選手たちは完全な意味での軍人ではない」としつつ、「しかし肩書きは名目上でも、それによって得た特権や収入はかなり現実的なものであったと認めるべきだ。彼女はそこに触れたくないのだろう」と断じ、「残念だが、イシンバエワはロシアを捨てた。“向こう側”に行ってしまったのだ」と論じた。
『Sport24』も「祖国の英雄はひっそりとスペインに逃亡していたのか。恥ずべき言い訳だ」と批判。「2015年、イシンバエワは少佐に昇進し、国防省と契約を結んだ。彼女はCSKAの陸上部門で指導員としての“軍人職”に任命されたのである。現大統領であるウラジーミル・プーチンの元で、スポーツ選手が集う『プーチン・チーム』にも加わっており、2020年には憲法改正の作業部会に参加した」と説明している。
母国ロシアからの猛批判に対して、イシンバエワさんはふたたび弁明のコメントを発信するのか。スーパーレジェンドの動向に注目が集まる。
構成●THE DIGEST編集部
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ロシアのメディアはすぐさま反応。最近のイシンバエワさんの私生活については情報が乏しかったため、『el digitalsur』が主張するスペイン滞在説はデマだと見る向きが強かった。
そんななか、イシンバエワさん本人が突如としてSNSで反論。インスタグラムの更新は、北京冬季五輪が開催中だった2022年2月以来、およそ1年半ぶりだ。
スペイン滞在に関してはいっさい触れず、弁明したのは「ロシア軍少佐」の箇所だった。自身の選手キャリアをざっと振り返ったのち、「ロシアではすべてのアスリートがスポーツクラブに所属します。私は2018年まで『CSKA』に所属していましたが、ロシア連邦の軍隊に仕えたことはありません。(少佐の)肩書きはただの名目上のもので、私の天職はあくまでスポーツです」と言い切った。
さらにIOCはまったく自身の立場を問題視していない点を強調し、「私は平和主義者です! 私に石を投げようとする人たちの良心も信じます。嫉妬は破壊的な感情であることを忘れないでください」と呼びかけ、「情報の内容をしっかり精査して、惑わされないようにしてほしい。時間の無駄遣いにならないように…」と続けた。
このメッセージに対して、ロシア・メディアは一斉に反発する。引っ掛かったのは「名目上」のフレーズだった。『Championat』は「ある意味、彼女は正しい。CSKAの選手たちは完全な意味での軍人ではない」としつつ、「しかし肩書きは名目上でも、それによって得た特権や収入はかなり現実的なものであったと認めるべきだ。彼女はそこに触れたくないのだろう」と断じ、「残念だが、イシンバエワはロシアを捨てた。“向こう側”に行ってしまったのだ」と論じた。
『Sport24』も「祖国の英雄はひっそりとスペインに逃亡していたのか。恥ずべき言い訳だ」と批判。「2015年、イシンバエワは少佐に昇進し、国防省と契約を結んだ。彼女はCSKAの陸上部門で指導員としての“軍人職”に任命されたのである。現大統領であるウラジーミル・プーチンの元で、スポーツ選手が集う『プーチン・チーム』にも加わっており、2020年には憲法改正の作業部会に参加した」と説明している。
母国ロシアからの猛批判に対して、イシンバエワさんはふたたび弁明のコメントを発信するのか。スーパーレジェンドの動向に注目が集まる。
構成●THE DIGEST編集部
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