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バレーボール

「最高レベルの攻守」と元五輪レジェンド激賞! 日本、決勝進出を逃すも世界1位ポーランドに“我慢”を強いる大善戦【男子バレーVNL】

佳子S.バディアーリ

2023.07.24

アメリカ戦でも22得点を挙げた石川。今大会でもまざまざと存在感を見せつけた。(C) Getty Images

アメリカ戦でも22得点を挙げた石川。今大会でもまざまざと存在感を見せつけた。(C) Getty Images

 現地7月22日、ポーランド・グダニスクで国際バレーボール連盟(FIVB)が主催するネーションズリーグ(VNL)ファイナルラウンドの男子・準決勝が行なわれた。世界ランク5位の日本代表は、同1位のポーランド代表と対戦し、セットカウント1-3(25-19、26-28、17-25、21-25)の逆転で惜しくも決勝進出を逃し、3位決定戦に臨むことになったが、その善戦ぶりには称賛の声も上がっている。

 日本は、前回大会の決勝ラウンドを負傷で無念の欠場となった石川が、スロベニアとの準々決勝で27得点の大爆発。快勝で目標の4強入りを達成した。準決勝の相手、世界ランク王座に君臨する開催国ポーランドは、日本がメンバーを調整して臨んだ予選ラウンド最終戦で、ストレート負けを喫した強豪中の強豪だ。負傷により直近対戦を欠場した主将のオポジット(OP)バルトシュ・クレクは、決勝Rで復帰も万全ではない模様で出場を見合わせた。一方、同じく故障明けのミドルブロッカー(MB)マテウシュ・ビエニエクは、準々決勝のブラジル戦でエース4本を記録するなど好調。イタリア・セリエAのペルージャで主力を務めるウィルフレド・レオン、欧州最高レベルのチャンピオンズ・リーグで3連覇中のポーランドリーグ・ザクサの主将アレクサンデル・シリカフらアウトサイドヒッター(OH)を始め、世界トップレベルの選手がロースターに並ぶ。

 日本は先発に、OHが主将・石川祐希と高橋藍、OPはウォームアップ中に腰に痛みが出た西田有志をベンチに留めて宮浦健人を起用。MB小野寺太志と山内晶大、セッター関田誠大とリベロ山本智大で布陣を組み決戦に臨んだ。
 
 小野寺の得点で第1セットをスタートさせた日本は、序盤の接戦から石川のバックアタックで抜け出すと、中盤に高橋のサーブが炸裂する。まずはコートの浅いところを狙ってエース。ポーランドのタイムアウトを意に介さず、相手の守備を崩して宮浦のバックアタックと石川のレフト弾でさらにブレークを奪う。相手はたまらず再びタイムアウトを取るが、その直後に今度はコート奥を狙い2本目のエース。小野寺のブロックで6連続ブレークを許したポーランドは、温存していたレオンを投入して、なんとかサイドアウトにこぎつける。しかし、このセットでアタック決定率100%を記録した石川が3連打を浴びせ、主導権を手放さず。バックアタックでセットポイントを引き寄せた宮浦が自らフェイントを沈めて日本がセットを先取した。

 ところが第2セット、機能していたサーブの確率が下降し、レセプションでもミスが散見。開始からコートに立ったレオンにラリーをものにされ追いかける展開が続く。迎えた後半、日本は石川のエースと宮浦のブロックアウトで1点差に詰め寄り、高橋がレオンの強打をブロック。リリーフサーバーのOP西山大翔もエースで代表初得点を挙げ、最大5点のビハインドからポーランドの背中を捉える。大接戦の終盤、2度にわたり相手のセットポイントを阻止し、石川のバックアタックでセット連取の絶好機。しかし、レオンの強烈なストレートとブロックに阻まれた後、レセプションが乱れてセットを失ってしまう。

 第3セットはビエニエクに3本目のエースを許した後、アタックミスとサーブの低迷でリズムを失う。選手交代を試みるが突破口は見えず、後半から出場の西山が2得点、終盤には石川が連続エースで奮闘するも、点差が開いたままこのセットを落とした。

 後がない日本は、高橋のエースや宮浦の攻撃で第4セット序盤をリード。だが、シリカフのサーブで4失点に見舞われ、追いかける展開に。後半、石川のブロックアウトと4本目のエースで1点差に迫るも、レセプションの安定を欠いて再び後退。石川が渾身のクロスで相手の最初のマッチポイントを阻止して粘るが、ストレート弾を決められて力尽きた。

 石川は、レオンと1得点差で全体2位の22得点(アタック17、ブロック1、エース4)を挙げ、完全アウェーの厳しい戦いでアタック決定率60.7%をマーク。個人ランキングの得点とアタック部門で堂々の単独首位につけている。日本はバリエーションを駆使したサーブで相手の2倍のエース8本を記録するも、個々の選手が確実にクオリティを発揮するポーランドの層の厚さに屈する形となった。

 二コラ・グルビッチ同国監督はタイムアウトで、「忍耐」を繰り返し強調。2022年世界選手権・銀メダリストに我慢を強いた日本の戦いぶりを、FIVBの配信媒体『Volleyball World TV』の解説者で2008年北京五輪・金メダルメンバーの元米国代表リチャード・ランボーン氏は、「緻密なサーブ戦略と最高レベルの攻守で強国に多大なストレスを与えた」と讃えた。

文●佳子S.バディアーリ
【動画】世界ランク1位を相手に惜しくも決勝進出ならず。日本、3位決定戦へ

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