恐ろしいまでのその強さに、新旧の世界チャンピオンたちも舌を巻いた。

　７月25日、東京・有明アリーナにて行なわれたWBC、WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチで、ランキング１位の井上尚弥（大橋）は王者スティーブン・フルトン（米国）に挑戦。優位に試合を進めていた井上の強打が、ついに炸裂したのは８回だった。渾身の右ストレートでフルトンの顎をとらえ、すかさず左フックを決めてダウンを奪うと、立ち上がった相手に猛ラッシュ。見事レフェリーストップでのTKO勝ちを収めたのである。
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　通算成績を25勝（22KO）無敗とし、これで堂々の４階級制覇。しかも４団体統一と４階級制覇の両方を達成したのは世界でもわずか２人目という快挙だ。

　そんな圧倒的な快勝劇を披露した井上に対して、世界王者たちも賛辞を惜しまない。

　テレビ実況で解説を務めた元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太氏は、「勝つべくして勝った。パワーで勝る井上選手がプレッシャーかけ続けるなかで、フルトンも持ち前の反応力でしっかり対応していくいい試合でした」と振り返り、「実力をふたりとも出し切ったうえで、総合力の差で井上選手が勝ったと思います」と評した。

　元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏は、公式YouTubeチャンネル「ネクストチャレンジ」を更新。「ひと階級上げてもすごかったし、逆に動きが良かったんじゃないかな。パワーがね…。相手にボクシングをさせなかった」と驚きを隠せず、「８ラウンドで倒したもんねぇ。階級を上げて最初の試合で挑戦して王者をノックアウトするって、もう普通じゃない。年内に４つ（４団体すべてのベルト）を獲るんじゃないかな」と期待を込めた。
  　現役のIBF世界フライ級王者であるサニー・エドワーズ（英国）は試合中からツイッターでコメントを連発。「またノックアウトを観させてもらったよ。いまイノウエを超えるボクサーっている？」と呟き、「スティーブン・フルトンは偉大なファイターだ。彼（井上）はボクシングの世界の最高峰に君臨するエリートファイターを相手に闘ったんだ」と力説した。

　さらに女子で史上最多７階級を制覇し、現在５団体（WBC・WBO・IBF・WBA・IBO）の世界フェザー級統一王者であるアマンダ・セラノ（プエルトリコ）も、ツイッターで「これぞホンモノの怪物だ！」と、井上のハイパフォーマンスを絶賛した。

構成●THE DIGEST編集部

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