かつて、リングに沈められた王者が日本の怪物をあらためて高く評価した。

　去る７月25日、ボクシングの前世界バンタム級４団体統一の井上尚弥（大橋）が、WBC・WBO世界スーパーバンタム級２団体統一王者スティーブン・フルトン（米国）を８回１分14秒TKOで撃破し、日本人２人目となる４階級制覇を成し遂げた。

　井上は試合後、リングサイドで観戦していたWBA・IBFスーパーバンタム級王者のマーロン・タパレス（フィリピン）に向かって、「今年中に、このベルトを懸けて戦いましょう！」と統一戦を熱望。タパレスも意欲を見せ、「自分自身が王者であることを証明したい。彼と戦いたい」と即答。前向きな姿勢を示したことで、年内での対戦実現の可能性が大いに高まった。

　そうしたなか、WBO世界バンタム級王者ジェイソン・マロニー（オーストラリア）が井上とタパレスの一戦について、興味深いコメントを発した。今年５月、井上のスーパーバンタム級転向で空位となっていたWBO王者に就いたマロニーは米ボクシング専門メディア『PRO BOX TV』の取材に対し、「イノウエは楽に勝つと思う」と見解を述べている。

　32歳のボクサーは先月、井上のスーパーバンタム級初陣を「８回にKOで勝つ」と予言して見事的中させ、ボクシング関係者の間で大きな話題を呼んだ。モンスターの同級２戦目についても、マロニーは熱い視線を注ぐ。井上とタパレスの統一戦については「当然、イノウエが次にタパレスと戦うことは知っている」と話し、「その試合でも楽勝すると思う。そうすれば、彼は２階級でも議論する余地のない存在になるだろう」と断言。モンスターの快勝を確信しているようだ。
  　マロニーは2020年10月、当時バンタム級２団体統一王者だった井上に挑戦し、７ラウンドでKO負けを喫しており、規格外のモンスターの強さを肌で熟知している。ひとつ上の階級に転向しパワーやスピード、幾多の強敵を葬ったパンチ力がよりグレードアップした井上について、さらに称賛の言葉を並べ立てた。

「現時点で、偉大なファイターたちがすべてのベルトを獲得するのを見るのは、とてもエキサイティングだし、素晴らしいことだ。ボクシング界にとっても素晴らしいことだし、ファンとしても、このようなビッグファイトを見れるのは楽しいよ」

　かつての対戦相手から絶賛された井上の底知れぬポテンシャル。日本が世界に誇るモンスターは、新たなステージでも大きな存在感を発揮している。

構成●THE DIGEST編集部

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