ラグビー

難敵もミス、反則、逸機を繰り返す... アルゼンチンはチリ戦で完全に立ち直ったのか? 日本との大一番へ悲壮な決意「私たちも同じ。切実に勝ちたい」【ラグビーW杯】

向風見也

2023.10.05

チリ戦では59得点を挙げ大勝。アルゼンチンとの大一番は8日だ。(C) Getty Images

ラグビー日本代表は現地時間10月8日、ワールドカップフランス大会の天王山に挑む。所属する予選プールDの最終戦。2大会連続での決勝トーナメント進出がかかる80分だ。

 対するはアルゼンチン代表だ。

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 南半球のザ・ラグビーチャンピオンシップに入ったのは2012年。以後、ニュージーランド代表、オーストラリア代表、南アフリカ代表といったワールドカップ優勝経験国と切磋琢磨してきた。強烈な防御の圧力を効かせ、白星をもぎ取る機会も増やしていた。

 22年就任のマイケル・チェイカヘッドコーチのもと、攻撃の枠組みもアップデート。複層的な陣形を作り、細かくパスをつなぐよう意識する。強靭さを活かした、タックルをされながら球を繋ぐ技術も据え置かれたままだ。

 今夏の試合では、球を回そうとしながらエラーで終えることもあった。もっともそれは、本番に向けた調整段階での出来事だった。陣形と選手間のビジョンは共有されているようで、身体衝突の強さは折り紙付きだった。いわば、ベースを整えたうえでさらに伸びしろがあると匂わせていた。

 今回の予選プールDには、前回準優勝のイングランド代表も入っていた。それでも大会前は、日本代表にとっての最大の難敵はアルゼンチン代表だとする国内関係者も複数いた。

 実際には、その期待が裏切られていまに至っている——。

「最初の試合で、私たちは敗北に耐える必要があり、次からの試合では全く違う心境になっていました。そして勝利を収めることができたのです」

 指揮官のチェイカがこう述べたのは現地時間9月30日。予選プールの3試合目で、初出場のチリ代表を59―5で下した直後だ。談話は、大会のメディアサイトに載った。

 実は本大会において、アルゼンチン代表は本領を発揮できずにいた。

 10日の初戦では、開幕前まで不調と見られたイングランド代表に10―27で完敗。レッドカードで人数の減った相手がドロップゴール、ロングキック、ハイパントに焦点を絞るなか、ミス、反則を重ねて自滅した。続く22日も、サモア代表に19―10と勝利こそすれ逸機を重ねた。

 今度のチリ代表戦へは、この日は日本代表戦を見据えてか一部の主力を欠場させて臨んだ。この日も好機を反則やミスで不意にした向きはあったが、結果的には快勝した。
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「最初の数週間を経て、準備はより整っている」