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リバティアイランドの戴冠が濃厚。“成長分”の馬体重&全幅の信頼寄せる川田将雅騎手なら『牝馬三冠』に盤石【秋華賞】

三好達彦

2023.10.14

5戦すべてで手綱を握る川田騎手とともに牝馬三冠を狙うリバティアイランド。写真:産経新聞社

5戦すべてで手綱を握る川田騎手とともに牝馬三冠を狙うリバティアイランド。写真:産経新聞社

 3歳牝馬三冠の最終戦、秋華賞(GⅠ、京都・芝2000m)が10月15日、2020年以来3年ぶりにホームの京都競馬場で行なわれる。リバティアイランド(栗東・中内田充正厩舎)の三冠達成はなるか。もはや言うまでもないが、今年の焦点はこのワンポイントに尽きる。

 二冠馬が歩んだレースの走破タイムを見ると、いかに彼女の能力が桁外れかがよく分かる。牡、牝が同じ競馬場の同条件で競った2戦を振り返ってみる。

 昨年の2歳チャンピオン決定戦として阪神のマイル(芝1600m)で行なわれた2レースを比較すると、朝日杯フューチュリティステークス(勝ち馬ドルチェモア)の1分33秒9に対して、リバティアイランドが圧勝した阪神ジュベナイルフィリーズは1分33秒1と、朝日杯を0秒8も上回った。

 同様に、東京の芝2400mで行なわれたクラシック2戦目を比べると、日本ダービー(勝ち馬タスティエーラ)の2分25秒2に対して、オークスは2分23秒1と、こちらは2秒1もの大差をつけてリバティアイランドが牡馬陣を上回った。しかもオークスでは2着に6馬身を付け、強く追われたところもなく叩き出した時計だけに、その価値は計り知れない。

 本項の桜花賞レビューで、筆者はリバティアイランドについて以下のように記した。

「個人所有であったウオッカと違ってクラブ法人の所有馬なので、そう簡単にことは進まないだろうが、次走の日本ダービーへ進むという選択肢も『あり』ではないか。ぜひ一考してほしいと個人的には考えている」
 
 リバティアイランドはオークスで筆者の読み通りのパフォーマンスを見せて、春の時点では『3歳最強馬』であることを証明していたのである。夏を順調に過ごしていれば、この傑出したスーパーホースにケチを付けるのは難しい。2番手以下とは明確な差がある。

 では、リバティアイランドに不安点はないのか。いくつか挙げるとすれば、春から大幅に増えた馬体重をどう見るかという点になるだろう。

 中内田調教師が記者会見で「(放牧先の)ノーザンファームしがらきでは520キロらいまで増えていた」と述べている。リバティアイランドはデビュー戦からずっと460キロ台でレースに使われている(オークス時は466キロ)。それと比べて、約60キロを超えて馬体重を増やしていたのだから、「数字的にはちょっと心配なところがあった」と明かした同調教師ならずとも驚いてしまうだろう。

 しかしその後、牧場でしっかりとした乗り込み、500キロぐらいまで絞れた状態でトレセンに帰厩したというリバティアイランド。JRAから発表された『調教後の馬体重』は、490キロと示された。春との体重差について、追い切りでの絶好の動きを見届けた中内田調教師は「成長分と見ていいと思います」と合格点を与えるコメントを残した。

 余談になるが、欧米では馬体重を計る習慣がないが、ジャパンカップで来日した欧州の名トレーナーにその理由を日本の記者が訊ねたところ、ウイットに富んだ答えを返した。

「どうして体重を計る必要があるのか、私には理解できません。競馬は生きた馬が走るのであって、肉が走るわけではありませんからね」
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