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「男だとは感じない!」性分化疾患の陸上元女王が“世界陸連の規定”の必要性訴え! 「もし私に優位に働くならば...」

THE DIGEST編集部

2023.11.10

五輪女王のセメンヤがBBCの取材に応えた。(C)Getty Images

五輪女王のセメンヤがBBCの取材に応えた。(C)Getty Images

 2012年ロンドン大会、2016年リオデジャネイロ大会と陸上の女子800メートルで五輪2連覇女王に輝いたキャスター・セメンヤ(南アフリカ)は、生まれつき性分化疾患(DSD)を持っており、性を巡り、かねてより世界陸連と対立している。そんな彼女は、「皆と違うことを恥じるつもりはない。正義のために戦う」と強く訴えた。

 筋肉量と筋力を増加させるホルモンであるテストステロンのレベルが高い32歳を悩ませる規定を世界陸連が導入した。2018年、DSDを持つアスリートは、男性ホルモンのテストステロン値を低下させる薬を服用した場合に限り、女子の部門で400メートルから1マイルの競技に出場できるとした。さらに今年3月からは全競技に拡大され、出場資格を得る前に、半年間の男性ホルモン抑制治療を受けなければならないというルールも加わった。

 3年前にスイスの最高裁判所に不服を申し立てたセメンヤはその際、敗訴している。この判決に対し、今年7月に欧州人権裁判所(ECHR)は「差別から保護されなかった」と下したのだ。

 現地11月7日、英公共放送『BBC』は、そんな彼女の独占インタビューを掲載した。「あなたが女性であるならば、私も女性であると信じている。どんな違いがあったとしても、自分を信じて生きたいし、戦いたいと思っている。私は女性であるし、どんなことでも受け入れる」とセメンヤは口を開く。
 
 子宮も卵巣もない中距離界のスターは、「人と違うことを恥じるつもりはない。私は他と違って特別な存在である」と自信をみなぎらせたうえで、「それが女性スポーツで戦う理由である」と主張する。そして「他の性別の人がどう見えるかで決断するのではない」とキッパリと言い切った。

 さらに「利己心のために我々の業界に入り込み、破壊しようとする指導者を許すつもりはない。女性に力を与え、彼女たちが声を上げやすくしたい」と唱え、こう投げかけている。

「自分の身体に違和感を覚えることはなく、男だとは感じない。全ての女性はパフォーマンスを発揮するためにトレーニングをしている。もし私に優位に働くならば、なぜ私は男性ほどのタイムが出ないのだろうか?」

 彼女の訴えにより、同規定が柔軟化されることはあるのだろうか。今後の動向に注目だ。

構成●THE DIGEST編集部

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