世界を驚愕させた逆転劇は本人にとっても驚きだったようだ。

　12月21日、2023年度のプロスポーツ界で最も活躍した選手や団体を表彰する「第53回内閣総理大臣杯日本プロスポーツ大賞授賞式典」が行なわれ、今夏の陸上世界選手権女子やり投で金メダルに輝いた北口榛花が『殊勲賞』と『NHK賞』を受賞した。

【動画】最終投てきでビッグスロー！ ブダペスト世界陸上女子やり投で北口榛花が金メダル 　まさに飛躍のシーズンとなった。８月にハンガリー・ブダペストで開催された世界陸上では、日本女子選手としてはフィールド種目で初めての金メダルを獲得。さらに陸上の世界最高峰の大会であるダイヤモンドリーグでも年間チャンピオンに輝き、日本陸上競技連盟が選ぶ「アスリート・オブ・ザ・イヤー」にも選出された。

　そんな北口が授賞式典後の取材対応で、今年最も印象深い出来事を問われると、世界陸上での逆転劇を挙げる。４番手で迎えた最終投てきについて北口は、「あの競技場ではこれまでかなり多くの逆転があったが、自分もまさか“そっち側”になると思っていなかった(笑)」と明かす。続けて「世界の陸上ファンの方々にも日本人のやり投げ選手がここで“逆転”という大きなドラマとともに記憶に刻まれたのは嬉しかった」と当時を回想した。

　また今シーズンの快進撃には「今でもたくさん自分の動画を見ることはあるが、それでもやっぱり自分がやったとは信じられなくて、魔法にかけられた自分が、自分の意思とは関係のないところでやっているように自分の目には映る」と北口自身も驚きを感じている一方で、「こうやって今年最高の成績を残せたことはすごく自信になるし、ここがまだゴールではないので、これから先に向けてとても励みになる」と言う。

　来年は自身２度目のオリンピックとなるパリ五輪を迎える。「五輪でも金という気持ちは強いが、４年に一度というアスリートにとって特別な舞台。世界選手権とは一味違うというのを東京でも感じているので、しっかり準備をして特別な想いを持ってパリに臨みたい」と意気込みを語った。

取材・文●長沼敏行（THE DIGEST編集部）
【PHOTO】艶やかな紫ドレス姿の北口榛花。プロスポーツ大賞で殊勲賞とNHK賞のダブル受賞！

【関連記事】「あれは反則だ！」400m障害の世界記録保持者の“跳び方”が物議！ 本人のSNSには批判のコメントが寄せられる「過ちを認めるべき！」【世界陸上】