表情は冴えなかった。

　12月22日、フィギュアスケートの全日本選手権は大会２日目を迎え、アイスダンスリズムダンスと女子ショートが行なわれる。前日に右骨盤の故障を自身のインスタグラムで公表した本田真凜は朝の公式練習に登場。時折、右腰を抑える場面が見受けられ、本番に不安を残した。

　異変は前日からあった。21日の公式練習では右腰を気にする仕草があり、ジャンプもセーブ。曲かけ練習でも３回転ジャンプはほとんどしなかった。その日の夜に更新したインスタによると、練習中に右骨盤を痛めてしまったことを発表した。

　窮地にあることは確か。だが彼女は、大学ラストイヤーという節目の年で自力で掴むことが出来た大舞台への想いについて、「どうしても出場したいという気持ちが強く、少しでも良い状態で演技が出来る様、努めています」と明かし、「出場すると決めた以上、どんな内容であっても最後まで心を込めて自分らしく滑り切ります」と決意を誓った。
  　この日、朝の公式練習では本番の衣装を身にまとい登場した本田。だが動きは重く、ジャンプはサルコウ、トウループなど２回転にとどめた。特に右足を前に振り上げて力を入れて跳ぶアクセルジャンプはほとんどできず、曲かけ練習でも回避したほど。

　終盤３回転トウループに挑んだが転倒。ビールマンスピンでも右腰を気にする場面があり、リンクサイドのコーチと長く相談。表情も暗く時間だけが過ぎていった。

　愛嬌ある笑顔でファンを魅了する本田。強い決意で臨む９度目の全日本選手権は午後３時52分から開始予定。はたして、彼女らしい優雅な演技を見ることはできるだろうか。
　
取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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