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フランス人スケーターが挑んだ禁断の”バックフリップ”に母国メディアは拍手喝采! 一方で、本田武史は減点に言及「シーズンベスト超えてたかも」【フィギュア世界選手権】

THE DIGEST編集部

2024.03.25

アダム・シャオ・イム・ファはSP19位から一気に巻き返して銅メダルを獲得した。(C)Getty Images

アダム・シャオ・イム・ファはSP19位から一気に巻き返して銅メダルを獲得した。(C)Getty Images

 世界最高峰の舞台で披露した「禁止技」が物議を醸している。

 現地3月23日、フィギュアスケートの世界選手権がカナダ・モントリオールで開催され、男子フリーはイリア・マリニン(アメリカ)が初優勝。大技クワッドアクセルを含む、4回転ジャンプ5種類6本を成功させる超異次元構成をパーフェクトに滑り切った。今季の世界最高得点を更新する合計333.76点のハイスコアで、2連覇中だった宇野昌磨から世界王座を奪取。鍵山優真が銀メダル、宇野はまさかの4位に終わった。

 金メダルに輝いたマリニン、鍵山や宇野がひしめく最終グループが滑走する約2時間前、フランスの超新星アダム・シャオ・イム・ファが衝撃の演技を見せた。

 21日のショートはジャンプが乱れ、まさかの19位に沈んでいたアダム。巻き返しを期したフリーで、彼はなんと4回転ジャンプ3種類4本をすべて着氷する会心の演技を披露する。自己ベストに迫る206.90点でショートとの合計を284.39点にした新鋭は、鍵山(309.65点)に抜かれるまで暫定トップをキープ。結果的に3位に食い込み、2010年のブライアン・ジュベール以来、フランス人として14年ぶりに表彰台にのぼった。
 
 フリーでの大逆転メダルで母国に歓喜をもたらしたアダム。結果以外にも、彼が披露したアクロバティックな技が母国メディアを中心に大きな反響を呼んでいる。

 演技終盤、すべてのジャンプをノーミスで降りたアダムは現在のルールでは禁止されている「バックフリップ」に果敢にチャレンジした。勢いよく助走をつけ、両手の反動を使って後ろ向きに宙返り。着氷の衝撃は大きかったが、両足で踏ん張って見事に成功する。この技に観衆は大いに盛り上がったが、ジャッジシートには至極当然「マイナス2点」の裁定がくだった。

 テレビ中継で解説を務めた世界選手権銅メダリストの本田武史氏は、フランス人スケーターが披露したバックフリップについて「禁止されている技なので、2点減点になります」と冷静にコメント。のちに「バックフリップがなければ、今季のシーズンベスト(207.17点)を超えていたかもしれません」と減点の場面に言及するが、それ以上の発言は避けた。

 実は国際舞台で、彼が「バックフリップ」を実行したのはこれが初めてではない。今年1月に欧州ナンバー1・スケーターを決めるヨーロッパ選手権でアダムは2連覇を達成しているが、フリーで「禁止技」のバックフリップを華麗に着氷したものの、そこでも減点を受けている。

 アダムはその試合後、実演したことを地元メディアに問われると「(バックフリップをすると)減点されることは分かっていたよ。だけど新しいことにチャレンジして、このスポーツを進化させたかったんだ」と答え、その意図を説明。フィギュアスケートという競技の新たな可能性を追求し、減点覚悟で挑戦したと胸を張った。

 そして世界一を決める大舞台でもその気持ちは変わらず、バックフリップに挑んだ。
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